八色鵺

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8/12/2024, 2:13:06 PM

─── 君の奏でる音楽 ───


素晴らしい音楽家
少なくとも私にとってはそうだった

いつも何かを口ずさみ
いつも楽譜と睨めっこ

私に最初に聴かせるのが楽しみだと
嬉しそうに話す笑顔は眩しかった

一緒に過ごした日々は私の大切な宝物

だけど君は遠くへ行ってしまった


私の手元には君が残した
大量の楽譜と楽器がひとつ

思い出に浸りながら慣れない楽器に手を伸ばし
私に聴かせてくれた曲を練習する
君が帰ってきた時に驚かそうと思ってさ


叶うかもわからない私の夢

8/11/2024, 11:20:29 AM

─── 麦わら帽子 ───


まだまだ手付きがおぼつかない
そりゃそうだ
私だって手が慣れるのに時間がかかった
手が完璧に覚えるようになるには
さらに数年は必要なんだ

簡単じゃないさ
でもやりがいはある

暑い季節になれば
年齢も性別も関係なく
大勢が好んで身につけてくれる

家業を継ぐため修行に励む孫の姿を
自分の若い頃に重ねつつ


私も大麦の稈を編む

8/10/2024, 1:31:53 PM

─── 終点 ───


どうしてここに居るんだろう

でも仕方がない
何故か来ちゃってるんだし
不思議と怖くはないもんだな

SNSはできるけど
電話は繋がらないし写真を撮っても
ぼやけて何も写らない

ここでは決して飲み食いしてはいけないし
確か人と喋っても駄目なんだっけ

どうやったら帰れるかな
とりあえず降りずにまた寝てみるか
来た時と同じように


きさらぎ駅から逃げ出すために

8/9/2024, 2:01:32 PM

─── 上手くいかなくたっていい ───


僕は僕の道を行く
信じたこの道を突き進む

誰もが無理だと指差し笑ったこの道を

たとえ教えに背くことだとしても
たとえ君と戦うことになったとしても
たとえ世界を敵に回したとしても

僕は僕の信じたこの道を
しっかり踏み締め歩いてく


光あれ

8/8/2024, 2:26:32 PM

─── 蝶よ花よ ───


素敵な髪飾りをありがとう
綺麗な着物をありがとう

帯も小物も
わざわざ誂えてくれて
本当に嬉しい

泣かなくてもいいじゃない

少しだけ
ほんの少しだけ遠くへ行くだけ

私の気持ちはずっとお母さんと一緒よ



ごめんなさい
二十歳のお祝い全てを

死装束にしてしまって

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