八色鵺

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8/10/2024, 1:31:53 PM

─── 終点 ───


どうしてここに居るんだろう

でも仕方がない
何故か来ちゃってるんだし
不思議と怖くはないもんだな

SNSはできるけど
電話は繋がらないし写真を撮っても
ぼやけて何も写らない

ここでは決して飲み食いしてはいけないし
確か人と喋っても駄目なんだっけ

どうやったら帰れるかな
とりあえず降りずにまた寝てみるか
来た時と同じように


きさらぎ駅から逃げ出すために

8/9/2024, 2:01:32 PM

─── 上手くいかなくたっていい ───


僕は僕の道を行く
信じたこの道を突き進む

誰もが無理だと指差し笑ったこの道を

たとえ教えに背くことだとしても
たとえ君と戦うことになったとしても
たとえ世界を敵に回したとしても

僕は僕の信じたこの道を
しっかり踏み締め歩いてく


光あれ

8/8/2024, 2:26:32 PM

─── 蝶よ花よ ───


素敵な髪飾りをありがとう
綺麗な着物をありがとう

帯も小物も
わざわざ誂えてくれて
本当に嬉しい

泣かなくてもいいじゃない

少しだけ
ほんの少しだけ遠くへ行くだけ

私の気持ちはずっとお母さんと一緒よ



ごめんなさい
二十歳のお祝い全てを

死装束にしてしまって

8/7/2024, 2:49:24 PM

─── 最初から決まってた ───


勇者として英才教育を受け
祖国を後にし各国で仲間を集め
魔界にある魔王の城へ行く

お馴染みのストーリーに魔族との対峙
全てに意味が無い事を

初めから知っていた

世界の住人は魔族を憎み
魔界の住人は我々を憎んでいる

姿形は違えど所詮は同じだと

魔王とは戦わなかった
その代わり話し合った

そして表向きの結末
勇者一行が魔王を倒し世界に平和が戻った

国王も知らない我々だけの秘密だ

要するに協定を結んだだけ
お互いにとって悪い話にならないように

私は今日も魔界へ足を運び
魔王とチェスをしながら紅茶を飲んでいる


偉大なる神々と大魔王達の戯れの答えは
私には初めから見えていた

8/6/2024, 1:34:18 PM

─── 太陽 ───


太陽とは縁のない生活をしている

この街はどういう原理か常に夜なのだ
朝が来て昼になっても太陽は昇ってこない

月なら出ているがね
その月も太陽が無いと静かに光らない
と言う事は多少の縁はあるのか

街から出れば太陽が昇り沈むのを見られるが
生憎私はこの街が好きでね
余程の用事がない限り外へは行かない

灯りは月明かりと蝋燭で事が足りる
私の研究は勿論
料理も読書も問題なくできるし
この街の婦人方は編み物や縫い物も得意ときた

外が暗いだけで常に静かな街
賑わっていないわけではないんだがな

太陽の代わりに月が常にある街


実に不思議で私には住みやすいところだ

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