初恋の日
それは遥か昔の事だけど鮮明に覚えている。
君と出会ったのは学校だった。
教室の隅っこで静かに本を読んでいる。
とても物静かな男の子。
夏の風と共に君の髪がサラサラとなびく。
私は不思議と目を奪われた。
君が私に気づいて静かに微笑む。
夏の眩しい太陽に照らされている訳でもないのに
私の頬は真っ赤に染る。
黒い髪にすらっと通った鼻筋そして透き通るようなとても綺麗な目。
私の心の中で何かがおどる。
そして気づいてしまった。
私の初恋が始まる。
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。
お気に入りの場所に行きたい。
好きなものを沢山食べたい。
好きなだけ寝ていたい。
きっと数え切れないほど願い事が出てくると思う。
けど私はただあなたに会いたい。
言ってしまったことしてしまったこと。
言えなかったことできなかったこと。
全てを抱えてあなたに伝えたい。
そしてまた来世でもあなたに出会えるように。
心から愛したあなたに出会えるように。
そう願うだろう。。。
君と出逢ってからの私はどうだっけな...
きっと出逢う前より輝いていたと思う。
「今日すごい天気良いよね」
些細な言葉だった在り来りな普通の会話。
私はこう答えた。
「そうなんだ...空はあんまり見ないから分かんなかった」
つまらない退屈な答え。
すると君はこう言った。
「勿体無いなー驚くほど晴天だよ」
私は続けてこう答えた。
「空は眩しいから好きじゃない。空を見た所で何になるの?」
君は少し顔を顰めて言った。
「確かに空は眩しいよ。でも空を見上げて晴れてると心が軽く元気になるんだよ」
「まぁ雨だったしたら落ち込むけど」
君は優しく笑いながらそういった。
「ほら空見てみなよ!太陽輝いてるよ!」
仕方なく私は空を見上げた。
確かに綺麗だった。
「ほんとだ...綺麗」
君は笑いながら
「だろ?雲ひとつ無いから眩しいな」
確かに眩しい。
大勢を照らす太陽よりも今私の隣で空を見上げてる君の笑顔が。
曇り続けていた私の人生にも明かりが降り注いだ
この晴天のように私の心も少しずつ晴れていった
太陽のように笑う君と出逢ったから。。。