〖日差し〗
小道の脇に生えるまだ緑の若い木々の隙間から指す光。
少し遠くに見える広い海にはキラキラと反射する光。
どんな日差しも私には少し眩しくて。
ほんの少し細めた目も、
手をかざして出来上がった影でまた日を見上げる。
ただ 痛かったあの日々も、眩しいくらいだ。
〖窓越しに見えるのは〗
慌ただしく出ていった自動車のライトの光も。
庭に佇み何かに狙いを定める猫の目も。
自由を謳いながら飛んでいく鳥の声も。
儚い命で愛を叫ぶ蝉の声も。
まるで世界から切り離されたかのように
遠くなっていく。
そのまま痛みも連れ去ってくれるのかと思ってた。
案外そうでも無いんだね笑
光が強いと影がより際立って見えるように。
私には世界が眩しすぎて痛みばかりが軋んでいる。
次の瞬間、私の世界は暗転した。
〖ほどけた赤い紐〗
この世には『縁』という紐が在る。
そしてそれを神様は、ある時にはなるべくして、またある時にはちょっとした気まぐれで。
唐突に、結んだり切ったりしてきた。
人はそれを、『縁結び』『縁切り』という。
「縁を結べる、または切れるのは神様だけ」
そう思いがちだけど、実はそうでもなかったりする。
結ばれた紐を解けないように固く結んだり。
誰かとの紐を伝ってまた新しい誰かと結んだり。
何故か同じ人と2本の縁で結ばれてたり。
二度と関わらないよう解いたり。
切ったと思っていたらまだ切れてなかったり。
まだ見ぬ誰かを探して紐を辿ってみたり。
出来ることは沢山ある。
道も、結び方も、紐の数だけ、在る。
これを読んだあなたが良き縁に恵まれることを、遠くながら願っています。
私とあなたとの出会いも、また、縁なのです。
〖入道雲〗
入道雲は少し眩しくて、
アスファルトの熱で揺らいで見えて。
だけど私には、その後の雷雨がお似合いかな。
痛くて、苦しくて、仕方がない。
そんなあの夏の匂いがするや。
〖教科書通りにはいかない〗
愛の定義だとか。
痛みの消し方だとか。
心の強いあり方だとか。
生きていく中の呼吸の仕方だとか。
全然教科書通りにはいかないし、そもそも、
教科書があるのか、正しいのかもわからないし。
一生知ることの無いものだと思ってた。
というか、思ってる。
いつかそれを自分で見つけることができるんだろうか。
その時には、
誰かが隣にいて、一緒に考えてくれるのかな。