NoName

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9/28/2024, 3:47:27 PM

別れ際に

あの文庫本
どこへなおしてあるんだろ

道を聞かれて案内が てら
ぽつりぽつりと喋りながら
二月堂まで行ったっけ
お水取りの日だったような

端正な顔した穩やかそうな学生さん
金沢だって言ってたな

別れ際にお礼にと手渡された文庫本
たしか「大和古寺風物誌」

もう何十年もたつんだな
弟みたいにみえたけど
どんな人生だった かな














9/27/2024, 3:58:39 PM

通り雨

涼しい風が吹きこんだ
雨かも知れない
さあ 大変
二階の窓を閉めなくちゃ
慌てずゆっくり階段昇り
南の窓に北の窓

下 りはそれこそ慎重に
一段一段確かめて

リビング キッチン 洗面所
吹き込みそうな所から

慌てて 閉めて
やれやれと しばらく雨の音を聞く

あら もう音が聞こえない
じゃあもう一度
開けに回らなくっちゃね

少しは涼しくなったかしら









9/26/2024, 4:54:07 PM



大きな大きなろうそくの
炎のような いちょうの木

山のふもとの坂道に
一本だけのいちょうの木

いつしか緑に黄色がさして
今はすっかり黄金色

やっぱり秋は来てたんだ

そしてきらきら陽を受けながら
黄金の葉っぱが降り積もり

炎が光を消したなら
秋とはお別れ

ありがとう
輝く生命をありがとう

また来年も会えますように







9/26/2024, 6:41:17 AM

窓から見える景色

このあたりは まあ
不便なところではあるんだけれど
ほら
大和三山が一望できるよ
あれが畝傍山
右の方に天の香具山
左の方に耳成山
そのずっと向こうが三輪山で...

ね、この国の歴史の舞台が見わたせるんだ
ちょっと自慢 の景色 なんだよ




9/24/2024, 3:53:54 PM

形の無いもの

あなたの心はどんな色
どんな形をしているの

黒 白 灰色 ブルー に まっ赤
丸に 四角に とげとげに
温かかったりつめたかったり

今日は 春風 あしたは嵐
平らかだったり 波立って たり

千変万化の不思議な心
決まった 形は一つもなくて
目には見えない心の形
だから無限の心の形

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