暑いといって捲った袖、
思わずじっと見てしまったのは君には内緒。

僕を呼ぶ声がする。

でもまだ行かないよ。
そう君も言ったでしょ。

気をつけて行ってきてね。
ずっとずっと待っているから。
君が帰ってくるのを待っているから。

次に会う時はもっと歳をとっちゃうけど、君よりずいぶんと年上になっちゃうけど、どんな僕でも好きでいてくれたら嬉しいな。

君は僕以外の世界もたくさん知っているし、お友達もたくさんいる。
でも僕には君だけだから。
君がいちばんの友達だから。

君の温かい手が好き。
君の優しい声が好き。
一緒におもちゃで遊ぶのも好き。
ポカポカお日様の下でお昼寝するのも好き。


ずっとずっと待っているから、早く帰ってきてね。

一人暮らしを始めて早数ヶ月。
今でも時々間違える。

誰もいない部屋に「ただいま」って大きな声で言うし、味噌汁は2人分作っちゃうよ。
大の字で寝れるのに、布団の隅に寄って君の暖かさを探す。


ねえ、俺君がいないとだめだからさ。

「忘れないよ、ずっと」
そう言った君はもうニ度と僕の前には現れなかった。

約束なんて嫌いだ。