これをやったら
おっさんだ
立派なおじさんだ
そんな風に思っていた
しかし
しかし
その時は来た!
あー
いー
熱い湯につかり
思わず
ぐあああっていう感じに
あー
いー
やってしまったよ、、、
俺も
立派なおやじだ
スーパー銭湯の湯船の中で
あー
いーを叫ぶ、、、。
ビルの中にある
喫茶店でお茶をした
せっかくの休みだから
家にいるのもシャクだから
外に出たのはいいが
季節はずれの気温の低さと
雨に風
さすがにどこかに入って休むことにした
窓際の席に座ると
コーヒーを頼んだ
眼下には
スクランブル交差点
歩道橋が見える
あとはビル
つまらない景色だ、、、
これなら
水族館で魚でも見るか
プラネタリウムか
植物園の温室でも見たほうが良かったかもしれない
たいして美味くないコーヒーの
温度だけはありがたい
ぼんやりと
つまらない景色を眺める
この僕もつまらない奴だ
信号が変わるたびに
傘がひしめきあいながら
交差点を移動していく
ああ
クラゲに似てないか?
花柄のクラゲに
水玉のクラゲ
黒に
透明、、、エトセトラ
あの傘の下には
どんな人が
どんな思いで
いるのだろうか?
カラフルなクラゲの群れが
また移動していく
まあ
こんな景色も
悪くないな
僕も傘をさし
小降りの中を
クラゲの群れに加わっていく
僕の傘は
どんな色に見られているのだろうか?
無色透明なビニール傘は
雑踏の中に消えていった。
朝の散歩は
空気がうまい
空気がうまいっていうのは
新鮮な空気って意味じゃない
今日は煮干しの出汁かな?
おや?このお宅はペペロンチーノか?
うーん、毎日中華スープの匂いだな
インスタントだ、、。
やっぱり焼き魚の匂いはうまそうだ
これは、、お年寄りだろうか
風に乗ってくる香りで
美味しい朝食をちょっと想像しながら
朝の散歩は
空気がうまい。
少し部屋を片付け
お茶の準備などして
往診の先生が来るのを待っていた。
ぴーんぽーん
あ、きたきた!
走って玄関に向かう
往診の荷物なんかを
持ってあげるためなのだが、、、
あれ?
確かに車は先生の車だ
しかし
車の中に先生の姿はなく
ヒョイと見た車の外側も姿がない
あれ?もう家に入っていったのか?
部屋に戻ると
先生の姿はない
そして
いい加減後から
いつもと変わりなく
登場した
なんだ?
姿が見えないってのは?
もう一度先生をみてみる
ぞくりとした
理由はわからない
それから
3日後
先生は帰らぬ人となった。
ああ
もし、姿がみえないことが
亡くなる前兆だとわかり
未来が見えたなら
少しは助けてあげられたのだろうか?
封筒を開けるのが怖くて
封筒を懐中電灯ですかして
考えたら
同じ事なんだから
開けるほうが普通なんだけど
でも
何通も
サクラ散る
悲しいこと
透かしてみたが
合格の文字も
サクラ咲くも
サクラ散るも
ない
ない
ない
あー
またダメ
仕方ない
開封する
シロウサギ ブジ シマ ワタル
日本だな