押入れの中、布団と布団の間に挟まって、君が横切るのを待ち伏せ。
まだかな、はやく来ないかな、飛び上がって驚く君を想像してニヤニヤする。
しばらく待ったが、君がやって来る気配はなかった。
なんだツマンナイの、と欠伸をして目を閉じる。
パチっと目を開けて、もう一度欠伸をした。
よく寝たー、と身体を伸ばしながら押入れから出た瞬間、襖の陰から君が飛びかかってきた。
ビックリしたな、もう〜!!
テーマ「暗がりの中で」
君に出会うまで紅茶といったら、ティーバッグかペットボトル。
それか刑事ドラマのビチャチャチャチャ〜っと盛大に飛沫を撒き散らすものしか知らなかった。
キュウリサンドを噛りながらそう言ったら、目の前で優雅にティーカップを傾けていた君がキョトンとした顔。
そういえばテレビをあまり見ない人だったな、と小首を傾げた君に、ドラマで見た刑事が紅茶を淹れるシーンのマネをする。
顔の直ぐ側まで持ち上げたポットから手元のティーカップ目掛けて勢い良く注ぐ。
びちゃちゃちゃちゃー、と紅茶が跳ねる音は口で再現。
それはマナー違反ですね、半分に割ったスコーンにクリームとジャムをたっぷり塗りつけながら君が言う。
正確にはポットに湯を注ぐ時にすると良いと君に聞かされて、また一つ私は賢くなった気がした。
テーマ「紅茶の香り」
日頃の感謝を込めて、みんなに贈るよ。
でも面と向かって言うのは、なんだか照れくさいから。
くっだらないダジャレに込めてみた。
嘘偽りない僕の思い。
これからもみんなに届きますように。
あいことばは、アリが十匹。
ありがとう!
テーマ「愛言葉」
おはよう、ご機嫌いかが?
窓辺に座って、目の前の君に一声かけた。
灰色の長い毛をした少し透けてる君が真ん丸な目を僕に向けている。
返事はない。
いつも無言で僕を眺めている君、君の声を聞きいてみたいな。
ねえ、一緒に遊ぼうよ。
チュン、と合わせた鼻先は飛び上がるほど冷たかった。
テーマ「友達」
みんな、それぞれの道を行くから。
バイバイと手を振って、私も選んだ道を行く。
悩みながら迷いながら、一歩一歩慎重に進んで。
私の望んだ未来を掴み取るために。
いつか、みんなに会ったときに誇れるように。
私は、こんなに頑張ったよ、と。
だから、バイバイ。
そう言って、追い縋る君の手を振り払った。
テーマ「行かないで」