むかしとても面白い友達がいた。
とにかく人の話を聞かないやつで
親や教師にやるなと言われたことは
たいていやって失敗していた。
成績は悪くなかった。
むしろ優秀な方だったと思う。
本人曰く、
大人は信用ならないのだとかで
廊下を走るなと言われて
全力疾走して転んでいた。
蜂の巣に近づくなと言われて
挑んで腕を腫らしていた。
団体行動だから離れるなと言われて
迷子になっていた。
奴が偉いのは
きっちりと“失敗”するところだ。
話を聞かないからだと
みんなバカにしていたが
自分は尊敬していた。
そんな奴だが一つだけ
親の言うことを聞くことがある。
幼い弟に関すること。
今も元気でやっていることを願う。
なんとかなる
時の運
流れに任せる
なるようになる
そして今
目の前で真剣にチョコエッグと
対峙している少年へ
「中身は神様だけが知っている」
前に進む。
この先に何があるかなんて
誰にも分からない。
たどり着いて初めて何があったかを知る。
一年先に自分がどうなっているかなんて
やんわりとした予想しかつかないし
なにか想像もつかないことが
起こるかもしれない。
良いことも悪いことも関係なしに迫りくる。
自分の体調すら他人の力を借りなければ
正確にはわからない。
すべてを掌握することなど
人間には不可能だ。
残念ながら過去に戻る方法も
未来を覗く方法も知らないが
それでも前に進む。
前向きな気持というよりは
それしかできないのだ。
だから進む。
前を見て、出来るだけ転ばないように
後ろを見て、繰り返さないように
ゆっくりと確認しながら一歩づつ。
この道の先に
なにか起こったとしても
何もなかったとしても。
夏の日差しは自分にとってツラい。
普段夜中に動いている人間にとって
日光はただでさえツラいのに
より強い“夏の”日差しは
凶器でしかないのだ。
本当は出掛けたくなど無いのだが
そうもいかない。
譲れない用事だってあったりする。
世の中の大半は昼間稼働していて
日中でしか出来ない事が殆どなのだ。
別に不満を言いたい訳では無い。
実際、不満に思った事もない。
自分の生活時間が周りと
合っていないというだけなので
自分が譲れば問題ないのだ。
ただ一つ問題があるとすれば苦手を避けるための帽子にサングラス、マスク着用で
不審者テイストになることくらいだろうか。
さて。
近所の奥様や子供に怯えられつつ
ソフトクリームを買いに行こう。
前髪を直すにーちゃん、
化粧の具合を確かめるOLさん、
歯に詰まった何かしらを取る爺さん、
変顔する小学生、
すみません。
そこのガラスはマジックミラーです。