あかくら

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7/31/2024, 3:50:41 AM

その、澄んだ瞳が欲しい
美しいものだけを見て、尊いものだけを映すその瞳が。
お前は何事にも美しさを見出す。
その瞳。お前が見てきた美しく、尊いものと比べても、お前の瞳には遠く及ばない。
醜い俺にも、お前は美しさを見出してくれるのだろうか?
きっとそうだろう。
お前はいつも、そうだから。
俺は、お前の瞳を、俺だけのものにしたい。
俺だけを、見つめて欲しい。
その、澄んだ瞳が欲しいのだ。

7/14/2024, 3:25:09 PM

両手が塞がってしまった
いろんなものを抱え込んでしまったから

両手が塞がったままじゃ
差し伸べられた手を取ることも出来ないから
全部放りだしてしまったんだ

そうした時にはもう
誰も手を差し伸べていなかった

抱えるものも
取るべき手も失くしてしまったから
今度は私が手を差し伸べようと思った

片手で一人の手を取って
もう一人に手を差し伸べて
両手が塞がってしまった

それでも良かった
何かを抱え込むよりずっと
心地よかったから

そんな繰り返しで
みんながみんなを助け合って
みんなの手は塞がったけれど
みんなは前より幸せだった


ある日素敵なものに出会って
それを抱きしめたかったけれど
両手は塞がってしまって
私を離してはくれなかった

手を取り合って
手を取り合って
両手が塞がってしまった

6/25/2024, 6:01:11 PM

野に咲く花が綺麗だった
透き通るような白色だつた
周りの花より一際輝いていて
初めて花を綺麗だと思った

だから、摘んで帰ることにした
こんな場所じゃすぐに傷ついて枯れてしまうと思ったから
適当なコップを見繕って、テーブルに飾った
やはり綺麗だ、部屋の全てが違って見える

水を換えるのを忘れて、いつの間にか枯れてしまった
通りがかりにあの野原を見ると、見事な花畑になっていた
枯れた花によく似た花がたくさん咲いていたが
持って帰ろうとは思わなかった
野に咲く姿が綺麗だったのだ