羅針盤が欲しかった
道に迷わないように
どこを目指して進めばいいのか
自分では何もわからないから
羅針盤を眺めていたかった
くるくると回って
彷徨っているように見えて
最後には決まった向きに収まる
羅針盤をこわしてしまいたかった
その針を心臓に突き刺せば
進むべき方向が
収まるべき場所が
見つかるんじゃないかと思った
けれど、羅針盤なんて必要なかった
全部、自分で決めればよかっただけだった
目指す場所も、進むべき方向も
自分で決めてよかったんだ
だから、ここで終わりにする
羅針盤が無くたって
もう迷わないように
星のかけらが地に堕ちて
僕はそれを探しに行く
君は待っていていいから
僕は一人で歩けるから
放っておいてくれないか
あれは僕だけの輝きだから
太陽の下で陰を望む
あまりにも眩しく輝かしい太陽は
全てを焼き尽くしてしまうから
あの尊くも苛烈な光に
私はきっと耐えられないから
太陽の下で傘を差す
あまりにも眩しく輝かしい太陽は
私から雨を奪ってしまったから
あの優しくも厳格な光は
一点の曇りさえ許さないから
太陽の下で
私は私でいられるのだろうか
セーターをほどいている
あなたから貰った手編みのセーター
ただ1つ残った思い出
ほどいて糸になったら
手繰ってあなたのいる場所へ
わたしを連れて行ってくれる
わたしがあげたマフラーを
あなたはほどかなかったけれど
あなたがくれたセーターを
わたしは丁寧にほどいている
ほどいたセーターを
マフラーに編みなおして
あなたの温もりを感じた気がして
わたしは冷え切っていく
あなたのいる場所に行かなくちゃ
やわらかな光に包まれて
僕はやっと救われた
ずっとずっと探していた
やすらぎはそこにあったのか
冷たくなっていく身体を
優しく包み込んだ光は
温かくて柔らかくて
木漏れ日の中で眠るように
いつか、僕の上にも桜が咲きますように
そんな願いを抱いて
僕は息を止めた