やわらかな光に包まれて
僕はやっと救われた
ずっとずっと探していた
やすらぎはそこにあったのか
冷たくなっていく身体を
優しく包み込んだ光は
温かくて柔らかくて
木漏れ日の中で眠るように
いつか、僕の上にも桜が咲きますように
そんな願いを抱いて
僕は息を止めた
過ぎた日を想うことにどれほどの意味があるというのか
届かない日々、戻らない日々への執着が何の助けになるか
何を求めて縋るかも定まらず、ただ握りしめている
価値なきものと知りながらも掴んだものを離せずにいる
手の中に何があるかも忘れてしまったというのに
ただかつて手にしていた美しさや尊さが残っていると
思い込んでいたいだけだ
未だ訪れない日を想うことにどれほどの意味があるというのか
届かない日々、辿り着けない日々への渇望が何の助けになるか
何を求めて縋るかも定まらず、ただ想い描いている
存在し得ないと知りながらも夢想から覚めずにいる
目の前に何があるかも見えないというのに
ただどこにも見つからなかった美しさや尊さが
この先の何処かにはあると
思い込んでいたいだけだ
今を想うことにこそ意味がある
そこにある瞬間、確かな存在への確信を抱け
何も恐れる必要のない、ただ足元を踏み締める時
自分自身が今なのだから
無くしておらず、届いている
過去と未来に惑わされては
今がわからなくなっていくのだろう
しかし、今は確かにここにある
前も後ろも、上も下も、分からなくなろうとも
今のあなたが、そこに居るだけだ
あなたには、今しかないのだ
きっと明日も今日と変わらない明日が来る
幸せになんかなれやしない
どれだけ歩いたって景色は変わってくれない
上を見ても下を見ても前も後ろも何も無い
そんな道を歩き続けている
一歩が重くて苦しくて
一歩が辛くて悲しくて
踏み出せないのに背中を押されて
倒れないようになんとか足を出す
どんなに夜が苦しくても
朝は訪れる
眩しい太陽が僕達を照らしてくれる
そしてまた夜が訪れる
太陽は沈んで
長い夜が悲しみと苦しみを連れてくる
ああ、もう今日が終わる
人生は続く
喜びを悲しみと苦しみが塗りつぶす
何もできないのに
何処にも行けないのに
やりたいこともないのに
生きていたくなんてないのに
今日が終われば明日が来る
その繰り返し
永遠に
永遠に
永遠に
続いていく
終わらない
逃げられない
僕達は何処にも行けないのに
今日もまた
前へ押されて倒れていく
終わらない
終われない
永遠に
永遠に
朝が来る
昼が過ぎ
夜が更ける
変わらない
変えられない
永遠に
願いは消える
想いが薄れる
何も無くなって
何も無くなっても
朝が来る
朝が来てしまう
そんな絶望が続いていく
昨日は今日と変わらない
今日は昨日の繰り返し
明日には今日が過去になる
絶望して
絶望して
朝になったらそれを忘れて
夜になったら思い出す
わかっているけど変えられない
きっと明日も変わらない
きっと明日も天気が良くて
きっと明日も明るくて
きっと明日も悲しくて
きっと明日も生き延びて
きっと明日も……
今日でお終い。
その、澄んだ瞳が欲しい
美しいものだけを見て、尊いものだけを映すその瞳が。
お前は何事にも美しさを見出す。
その瞳。お前が見てきた美しく、尊いものと比べても、お前の瞳には遠く及ばない。
醜い俺にも、お前は美しさを見出してくれるのだろうか?
きっとそうだろう。
お前はいつも、そうだから。
俺は、お前の瞳を、俺だけのものにしたい。
俺だけを、見つめて欲しい。
その、澄んだ瞳が欲しいのだ。
両手が塞がってしまった
いろんなものを抱え込んでしまったから
両手が塞がったままじゃ
差し伸べられた手を取ることも出来ないから
全部放りだしてしまったんだ
そうした時にはもう
誰も手を差し伸べていなかった
抱えるものも
取るべき手も失くしてしまったから
今度は私が手を差し伸べようと思った
片手で一人の手を取って
もう一人に手を差し伸べて
両手が塞がってしまった
それでも良かった
何かを抱え込むよりずっと
心地よかったから
そんな繰り返しで
みんながみんなを助け合って
みんなの手は塞がったけれど
みんなは前より幸せだった
ある日素敵なものに出会って
それを抱きしめたかったけれど
両手は塞がってしまって
私を離してはくれなかった
手を取り合って
手を取り合って
両手が塞がってしまった