『距離』#100
BLです。お気をつけください。
目線の下にある坊主頭に伸ばした手が、もう少しのところで止まった。
その肌に触れることを想像して、けれども現にはできないまま手を下ろす。
気配に気づいた月島が振り向いた。
「どうしたんですか」
少し伏せた瞳に見えた仄かな碧に心を揺さぶられて、それでも表には出さずに何でもない、なんて答える。
「疲れているように見えますが」
柔らかく私の髪をすいた手にどくりと心臓が跳ねた。
自分からは詰められない距離を、月島は詰められることになぜだか胸が痛む。
「いや、大丈夫だ」
「ならいいんですけど」
離れていった体温を、惜しいと思ってしまった。
自覚しないようにしていた気持ちを、無理矢理見つめさせられる。
ではお気をつけて、なんて背を向ける月島を、抱き締めたいと思った。
やけに鼓動が早まるその病の名を、私はきっと知っている。
だけど、抑える方法だって、お前が同じ気持ちを持ってくれる魔法だって、なにも知らない。
だから、どうか、この距離を詰める方法を教えてくれないか。
その肌に、その心に触れる方法を。
ゴールデンカムイより鯉月です。
個人的には月島さんは自分から触れられるくらいには鯉登さんに心許しててほしいですね。
今日で100作目でした。
三日坊主の私にしてはめちゃくちゃ続いてますね。
高校生活めちゃ忙しいですけど楽しく書いて、楽しくみなさんの作品を見たいです☺️
そういえばジェイセントの香水買いました!
全部のテスターを嗅いで、和肌にしました。
いい匂いすぎてやばいです。みなさんもよかったら嗅いでみてください。
『泣かないで』
君が好きなんだ、なんてまっすぐにあなたが私を見つめる。
「だから、どうか、泣かないで」
眉間に皺を寄せて、心の底から願うような顔をするあなたが私よりも泣きそうに見えて、その体を抱き締めた。
真っ白のタキシードを着て、まっすぐに背筋を伸ばしたあなたが誓いのキスと共に泣きそうな顔をする。
そんな泣き虫なところも愛おしくて、泣かないで、なんてその涙を拭った。
泣かないで、と言うシチュエーションを絞れなかった…。
みなさんはどちらの泣かないでが好きですかね。
『冬のはじまり』#98
冬のはじまりを予感させる冷たい風が吹いた。
息が白く凍って、そのまま静かに空気と混じる。
寒いねって笑う君がやけに愛おしくて、好きだよ、なんて呟いた声すらも甘やかに凍ってしまいそうだった。
はじめて君と感じた冬のはじまりはいつもより少し暖かいような気がして、他の季節も君と巡るのが楽しみになった。
寒いですね。
わりと雪降る地方なんですけど寒がりすぎて着ぐるみパジャマに毛布にエアコンにストーブ使ってます。好きな着ぐるみはセイウチです。
みなさんも風邪にはお気をつけください。
『終わらせないで』
BLです。お気をつけください。
どうか、この恋を終わらせないで。
かつてないほどに真剣な瞳をしたあなたに、柄にもなく弱音が溢れる。
半歩後ずさった身体が、冷たい壁に触れた。
「……月島」
今にも切れそうなほどに張りつめた空気が、あなたの言葉で揺れる。
震えた声とは反対にまっすぐに見つめる眼差しが俺を貫いた。
「…はい」
「好きだ」
空気の色が変わった。
心臓が音を鳴らす。
夢か現か、それすらもわからなくなった。
「……え」
「お前のことを、恋愛的な意味で好いている」
顔に血が上る感覚がした。
言葉にならない声が溢れ落ちる。
「お前はどうだ?」
熱を含んだ瞳を向けるあなたに返す言葉は、ずっと前から決まっていた。
ゴールデンカムイより鯉月です。
『愛情』
あなたの幸せを願うこの思いが愛情じゃないのなら、何が愛なのかわからないほどだった。
けっこういろんな人から愛情を向けられて育てられてる自覚があるんですけど、それを返せてたらいいなって思います。