『太陽の下で』
太陽の下で笑うあなたがやけに輝いて見えて、それを表す言葉が恋だということにやっと気づいた。
あなたには太陽の下で生きていってほしいと願っていた。
痛いほどの陽に当てられ、眩しいほどの光に囲まれ、ただひたすらにその瞳に明るいものだけを映してほしいと願っている。
『セーター』
「もうすぐクリスマスだね」
隣に並ぶ君が、息を白く凍らせながらそう呟く。
そうだね、なんてマフラーに包まれた口をもごもごと動かしながら答えた。
「一緒に過ごす人いるの?」
「いないかなー。お前は?」
「私もいないけど」
「なんだ一緒じゃん」
くす、と笑った瞬間に漏れ出た息が白く濁ってすぐに消える。
冷たい風が君の髪を揺らして吹き抜けた。
「一緒に過ごしてあげてもいいけど」
「お前が俺と過ごしたいだけだろ」
いつもの軽口の応酬のつもりだったけど、君の雰囲気が違うことに気づいた。
緊張してますオーラが溢れでている。
なに、どしたの、なんて言葉を投げ掛ける前に、君が口を開いた。
「そうだよ」
世界が止まった。
夢だと思わざるを得ないような状況で、それでも君だけはそれが現実だと感じさせる。
え、とかあ、とか言葉にもならないような声が溢れた。
不思議と、嫌悪感はなくて、むしろ嬉しいとさえ思える。
はやく気づいてよ、と君が唇を尖らせた。
「私はあんたと一緒がいいんだけど」
セーターにから覗くその頬がいつもより赤いことに気づいてしまって、それと同時に自分の気持ちを自覚した。
ツンデレかわいいですね。タイプです。
『落ちていく』
まるで落ちていくようだ、と思う。
底のない湖に引きずり込まれるようにあなたに惹かれていく感覚は、得も言われぬほど不思議なものだった。
この底に触れられたときが至福だと言えるのではないか、とまで考える。
きっと、それは叶わないのだろうけど。
それでも、私は、奥底で囚われ続けたとしても、その相手があなたならば、それはきっと幸せと呼べるのだろう。
『夫婦』
あなたと出会ったのはいつのことだっただろうか、なんて自分に問わなくても、驚くほど鮮明に覚えている。
運命なんて言葉が似合うような、あまりにも特別すぎる出会いだった。
そんな在りし日に想いを馳せながら、純白のタキシードを着て隣に並ぶあなたに瞳を移す。
夢にまで見た結婚式が、今叶っている。
「病めるときも、健やかなるときも、そばにいることを誓いますか」
あなたと瞳を合わせて、ゆっくり微笑む。
「誓います」
夫婦になるんだ、という実感が、やけに胸に響いて、愛おしさが募った。
まだ高校生で結婚未経験なので難しいです…。
人の結婚式に出たこともないんですよ。
推しの結婚式は何回も二次創作で見てきたんですけどね。
『どうすればいいの?』
あなたの面影を忘れられないまま春を巡って、夏を追い越して、秋を追いかけて、冬を迎えて、また季節が移ろった。
何度目になるかもわからない一人で見る雪に寂しさが込み上げる。
ねぇ、私はどうすればいいの?
なんで迎えに来てくれないの?
呟いてみてもあなたには届かなくて、手のひらの雪がゆっくり溶けていくのをただ見つめた。