自分の頭とか心に浮かんだことって、ほとんど言葉にできない。「もっと的確な表現があるんじゃないか?」とか、「これじゃありきたりなこと言ってるだけだ」とか、「主張したいことの根拠が説得力に欠ける」とか、そんなことばかりで、結局モヤモヤを残したまま言葉を発するか、「もういいや」と思って言葉を引っ込めてしまうことがほとんどだ。満足に言葉にできることなんて滅多にない。
これまでは満開の桜が目に映っても、「咲いてるねー」ぐらいしか思わなくて、心にはほとんど何の感情も湧かなかった。だけど最近になって、桜を美しいと感じられるようになったのは、たぶん自分に見栄を張って心に蓋をすることが無くなったからなんだと思う。それまでは、「自分が花を綺麗と思うのは傍から見たらキモい」みたいなことを無意識に思っていて、そのせいでちゃんと花を見るってことをしなかった。今となっては卑屈で自意識過剰だなって思えるけど、前は本気でそう考えていた。そこから何で変われたのかは覚えていないけど、変われて良かったと思う。
自分は誰よりもずっと劣っているって感覚がどうしても抜けない。嫌なことから逃げてばかりで、しかも全力で物事に取り組んだことがほとんどなく、いつも「どうせ本気じゃないから」みたいな精神的な逃げ道を作っていたからだろうか、自分をほとんど信用できない。
中学生くらいの頃から全く人間として成長していない気がする。知識とか価値観とかには変化があったかもしれないけど、中心の部分は全く変わってない。人と接するのは苦手なままだし、すぐ嫌な事から逃げてしまう。これからもずっとこのままなのかと思うと怖い。
夕日の沈みかけた空からは、何か不思議なものを感じる。もちろん美しいとか切ないといった感情を抱くこともあるが、それらとはまた違った気持ちだ。オレンジ色に染まった空を見るとそれがどうにも地球によって生み出された景色には思えず、今までいた世界から切り離され、違う星とか異世界に来たような錯覚に陥る。