「また明日ね」
変わらない日常の
いつもの別れの挨拶
明日が変わらず訪れると
疑うことがないから
明るく手を振って言える言葉
これが戦争中や災害の後だったなら
決してこんなに簡単には
言えないだろう
明日の平和を信じられる
ここは本当に恵まれていて
なんて幸せな時代なのだろうか
「ささやかな約束」
木の爆ぜる音
立ち昇る白い煙
熱気で舞い上がる葉と灰
夕刻の太陽の様な朱い炎
何もせず暖をとりつつ
踊る炎を眺める
日常から少しだけ離れたこの時間
全てを焼き尽くして欲しいと思いつつ
ただ刻が過ぎていく束の間の休息
嫌いではない
炎の舞踊を写真で写し
友に送ってみる
LINEでの語らいが
ひと時の安らぎを楽しいものとしてくれた
「灯火を囲んで」
ああ 今この時が永遠に続けばいいのに…
過去も未来も考えず
そう願うことはしばしばある
幸福を感じる時は一瞬で
あっという間に
日常という鎖に縛られる
思い出は色褪せていく写真のように
記憶の波に沈んでいく
時に脚色された思い出は
未来に向かう脚を止めさせる
それでも願ってしまう
この時が永遠であればいいのに と
「時を止めて」
素直じゃないし意地っ張りだし
お隣さんなんだから
いるのは当たり前と思っていたし
そんなに突然いなくなるなんて
思ってもみなかったし
お互い恋人ができても
このままなんだって思っていたのに
やだよ
行かないでよ
そう思っているのに
その言葉が出てこない
特別じゃないけど特別な君
せめてさよならだけでも言えれば良かった
誰も見てない部屋の隅っこで
堪えきれない涙を隠すのに精一杯だった
「行かないで、と願ったのに」
誰にでも「秘密」はある
大なり小なりない者はいないと思う
どんなことであれ
知られたくないから隠す
それを魅力と思うか邪悪と思うかは
「秘密」の内容にもよるだろうけど
その者の表面上の性格によるだろう
「秘密」とは心の中で大きくなっていき
何時しか表面に出てしまう事がある
それを自身で操れるのか
それが出来ないならば素直になればいい
パンドラの箱のように閉じ込めて
開いた後には希望なんてないのだから
「秘密の箱」