過去はもう忘れたい
そう思ってもいろいろと思い出す
大半はもう忘れたいこと
記憶というものは
こうもしつこく残るものかと思ってしまう
そんな中でもいくつかは
大切な思い出もある
チキンラーメンを見たら親友を
桑の実を見たら高校の仲間を
全ては捨て切れないと思い知らされる
それでもいいかと思えるようになったのは
今がそれなりに自分の心が平和だからだろうか
「懐かしく思う事」
あの時貴方の手をとらなかったら
私はどうなっていたのだろう
今巡り会った人たちとは
きっと会えていないだろう
違う人たちと違う環境で
豊かな生活が出来ていたかもしれない
それでも 今 はそれなりに納得している
大切な人たちが周りにいるから
違う環境で生きたとしても
それはそれで納得しているだろう
でも少しだけ
違う世界線も見てみたい
「もう一つの物語」
何も見えない未来
何が起こるのか誰も知らない
予言はあれども
それが自分にどう影響するのか
知る術は無い
光を照らけど見通せない
過去という背後は彩づいているが
未来は永遠の闇
誰もが手探りで歩む
踏み外すことなく
進めることを切に願う
「暗がりの中で」
「コーヒーよりも紅茶の方が好きなんだ」
ちょっと照れくさそうにそう貴方は言った
それからは私も紅茶をいれることが増えた
本を読む時 一息入れる時
はちみつを少し入れて飲むのが
私のお気に入り
あの人はストレートで飲むのが好きだって
電話の向こうで
「今 ポカポカしているのは
3杯目の紅茶を飲んだからかな?」
なんて呟くように言った貴方の顔を
見られなかったのが残念だったけど
一緒に飲んでいる紅茶の湯気が
私の顔を暖めてくれていたから
私もポカポカしていたんだ
一緒だねって言うと
そっかって返事が聞こえてきた
「紅茶の香り」
貴方が語る全ての言葉
優しく囁く心地よい響き
私にとってはどんなに有名な詩よりも
どんなに美しい音楽の調べよりも
貴方の紡ぐ言葉の方が
全ての芸術よりも尊く心に響く
何気ない呟きが耳に残り
いつまでもいつまでも再生される
なんでもない会話も
衝突して口喧嘩になった時も
悩んで独り言を言ってる時も
貴方の声が私を揺るがす
どんな時でも貴方が私の一番であるように
私がずっと貴方の一番でいてもらえるように
小さな事でも
お互いに言葉に出して語り合おうね
「愛言葉」