この世界に
全く同じものは何一つとして存在しない
人は勿論
双子だったとしてもクローンだったとしても
全く同じ行動 思考 生体は有り得ない
物も同じ
成分は同じでも形は全く違う
それぞれが個を主張している
人に造られた製品も
当たりハズレがあるし
細かなキズなどどこかしら違う
だからだろうか
他と違うという不安を
出来うる限り似せて
仲間として安心を得ようとするのは
違うものを排除し
コミュニティを作り
イデオロギーに固執し
アイデンティティを軽視する
今の世の中はもっと自由に
個を表現出来るはずなのに
それが出来ない矛盾だらけの世界
忘れてはならない
人は唯一感情と思考を表せる存在
そして誰一人として同じでは無い
もっと自由にもっと大きな声で
自分を表現することが出来るんだと言うことを
「世界にひとつだけ」
もう嘘はつけない
気のせいだと思いたかったのに
一番有り得ないと思ってたのに
顔を合わせれば喧嘩になって
いつも私の邪魔ばかりしてきて
なんで来るのよ! って思ってた
だけどいなかったらいないで少し気になって
友だちとのお話も上の空になってしまって
それなのにいつも喧嘩になって・・・
あいつが他の女の子と楽しそうにしているのを見て
何故か胸が痛かった
私にはあんな態度なのになんで?
嫌な奴ってムカついてるだけだと思ってたのに
でも違うんだって気付いちゃったんだ
私はあいつの事が気になってるんだって
私以外の女の子にそんな笑顔見せないでよ
私にもその笑顔見せてよ
そう思うようになってた
それに気付いてしまってからは
叫びまくる心臓の音と
喧嘩しかできない苛立ちと
素直になれない情けなさで
複雑な気持ちいっぱいで
今日もあいつとやり合うんだ
「胸の鼓動」
水槽の中を
ヒラヒラと尾びれを舞わせ
行き交う金魚
上へ下へ自由気ままに泳ぐ様は
小さな舞台の上の踊り子のよう
水中の泡がキラキラ光り
踊り子に絡まり宝石に見える
この小さな舞台の中で
何も考えずのんびりと踊っていられたら
どんなに楽だろうか
「踊るように」
大通りの時計塔
いつもは気にしていなかったけど
今日は早くその音が聞きたかった
待ち合わせの時間が来るのが
楽しみだったから
時間毎に違うメロディ
11時はなんだっけ?
約束よりもかなり早く着いたから
早く時計塔の針が進んで欲しくて
じーっと見てしまっている
自分のスマホの時間と変わらないのに
何度も何度も見比べて
何やってるのかなーなんて思ったりしてると
急ぎ足で彼が現れた
約束の時間の5分前
お約束の「待った?」から始まる彼との時間
ウキウキ気分でその場を離れた
時計塔の11時のメロディ
結局確認できなかったけどいいよね♡
「時を告げる」
波打ち際の小さな巻貝
海の唄を沢山聞いて
その身に記憶しているのかな
耳にあてればどこの海のさざ波の音か
心地よい音が聞こえる
巻貝に私の想いを呟いて
再び海の波へと送り返す
海よ
どうかその巻貝を
あの人の元へと連れて行って
「貝殻」