1/26/2024, 2:24:43 PM
12時になったら魔法が解けてしまう。
今日はあなたに逢えたから、それだけで特別だった。
シンデレラはガラスの靴を落としたけれど、私のヒールはベルト付きで脱げなかった。代わりにかかとの靴擦れが残って、私の足に証拠があっても意味ないじゃないとひとりごちながら、大事に痛みを抱えている。
あと10分。
日付が変われば魔法が解けて、楽しかった今日は終わる。
既読に回数表示がなくて良かった。また会おうねなんてありふれた挨拶で終えたSNSを開いては閉じて、閉じては開いて。それからふと思い立つ。
やっぱり特別ルールにしよう。
太陽の仕掛けた魔法なんて時代遅れよ、令和のシンデレラはゆとり世代なの。
私の今日は私のもの、私が終わりと決めるまで今日は終わらない。
無意味に今日を引き伸ばしながら、また針は明日へと進む。
『ミッドナイト』
1/26/2024, 1:15:43 AM
辞書によれば安心とは、気掛かりなことがないという意味らしい。けれど気がかりがない時間などこの世にあり得るだろうか。
休みの日なら、また次の日には仕事が待っている。大切な人と居れば、その人はいつか居なくなる。そもそも私も百年後には、もうこの世にいないのだ。
そうすると安心とは、不安が麻痺することかもしれない。先に不安なことがあっても、束の間それを忘れていられる時間。
お酒を飲んで、音楽を聞いて、本を読んで、みんなそれぞれの方法で麻酔をかける。
私の麻酔はきっと、言葉にすること。
わからないことは怖い。だからわからないことを私の言葉で噛み砕き、私のものにしてしまう。本当は少し違っていたり、言葉にしたせいで失われるものもあるかもしれないが。私のテリトリーに持ち込めば、ひとまずは安心できる。
そうして私は今日も言葉を紡ぐのだ。
『安心と不安』