11/18/2024, 8:23:56 AM
『冬になったら』(創作)
こたつに入って、みかんを食べる
あったかいおでんを食べる
スノーボードに行く
イルミネーションを見る
近場で良いから、温泉に行く
着ぐるみパジャマを買う(パンダ)…
北欧調の雑貨が置いてる店から出た後、冬になったら何をやりたいか、女友達に尋ねたところだった。
やりたい事を数えるように、指を一つずつ折り曲げて空を見上げた。白くて細い指が、僕には眩しく映る。いっそのこと、いま告白してしまおうかと思うくらい綺麗な青空に、黄色のイチョウの葉が輝いている。
「ぼーとしちゃってどうしたの?」
「どうもしないよ。冬になったらやりたいことってそれだけかよ」
「それだけできるだけでも、幸せだよね、それと…」
彼女が人差し指を顎に当てながら軽くコツコツと叩く仕草をして歩き始めた。僕はその小さな歩幅に合わせて何も言わず続いて歩いた。
「一緒にいられたら良い冬になるよ、きっと」
大型バイクが僕たちの横を通り過ぎて、声が聞こえなかった。
「え?!え?!なにもう一回言ってー!」
「やーだー」
秋の風が、ほんの少しだけ僕たちの背中を少し押してくれたような気がした。
11/16/2024, 12:16:04 PM
『はなればなれ』(創作)
「後悔のないように生きなさい」
母が私によく言う言葉だ。
その言葉を大切にして生きてきたつもりだった。
決して派手な生活を送っているわけでもなく、かと言って不幸でもなく、本当に普通に。でも、後悔のないように、楽しく生きている。
私はうまく生きられていますか?
進んできた道は、これで正しかったですか?
【大丈夫】って笑ってくれないかなぁ、
ねぇ、お母さん…。
時々、無性に会いたくなる。
ふぅと小さなため息をはいて、空を見つめると、一番輝いている星が【大丈夫】って笑ってるみたいに見えた。