NoName

Open App
6/24/2024, 8:56:55 PM

暑い夏の日の放課後。
私とあなたは海に来ていた。
日差しも強く、太陽が海に反射して輝いていた。
制服だったので泳ぎはしなかったが、浜辺で水をかけあったり歩いてみたりしていた。
太陽に負けないぐらいにキラキラしていたあなたの顔は、この世の何よりも素敵に思えた。
気づくともう夕陽が沈みかけていた。
暗くなり誰もいなくなった海で私たちはキスをした。
あなたは海に歩いて行った。
そしてあなたは柄でもないことを言った。
その時の表情はどこか遠くを見ていて、儚さがあり、そのまま海に消えてしまうのではないかと思った。
行かないで。置いていかないで。そう願うばかりで私の足は水が腰あたりにきたところで止まってしまった。
そしてあなたは海の泡になった。

そっか、もう一年前なんだ。

ちょうど一年前もここにきたんだね。

私,頑張ったんだよ。あなたがいなくなってからずっと楽しくなかったよ。あなたがいないから生きてる意味もわからなくて。
毎日後悔した。
なんで止められなかったのか。どうして自分も死ななかったのか。
ずっと苦しくて、寂しかった。
ああ、やっとあえるんだね。
また,楽しく過ごせるんだ。
私は期待とワクワクを込めて海の泡になった。