君は水族館の水槽を前にこう言った。
「美味しそう...。」
君らしいと言えば君らしいのかもしれない。
驚きつつも笑ってしまった。
そもそも食べれる種類かどうかも分からないのに、いやツッコむ場所はそこじゃないな。
...なんて事もあった。
寿司を食べているからか、連想されてしまったようだ。君は肉の寿司を食べているが。
君にはあの水槽の中が踊るお寿司にでも見えてたのかな。とか、くだらない事を考えながら、私はまた一皿平らげる。
2025/08/14 #君が見た景色
貴方に群がる雑草の芽。あるいは貴方にたかる羽虫や蟻。そのどれもが不愉快であった。
何故、貴方への気持ちは甘美で清らかな言葉になるのに、この自分でも憎たらしい塊は言葉にならないほどに自分の心を渦巻いて、巣喰って離れず側にいるのだろうか。
側にいて欲しいのはお前じゃないというのに。
2025/08/13 #言葉にならないもの
去年は親しい友人達とたくさん遊んだ。
一昨年は一人で静かに夏を楽しんだ。
その前は勉学に励んだ。
更にその前は...。
遡れば遡るほど朧げになってゆく。去年の事ですらハッキリとしていないものがある。
ただ一つ。くっきりとした輪郭で、何より鮮明に、極彩色で描かれた様な記憶が今でも呼び起こせる。
あの熱帯夜で君と語った内容は勿論、君の声色、布の擦れた音、上がる体温、目に刺さる青白い光など、その全てが脳裏に焼き付いている。
忘れるつもりもないが、その忘れられない記憶が今までの自分を作り上げてきたのだ。
2025/08/12 #真夏の記憶
「さようなら」の方が相応しかったか。
どうせまた会う保証なんてどこにもないんだから。
2025/08/07 #またね
自己嫌悪に苛まれる深夜。
思い浮かぶのは自分自身をどう虐め倒す事だとか、どう消えてしまうのが一番いいのかだとか。くだらない事ばかりが湯水の如く溢れ出る。
消えるならパッと消えてしまいたい。花火ほど派手じゃなくて、アイスが溶けるほど余韻も無くて、本当に一瞬で。
...泡。泡がいいな。
海の泡が消える様に、シャボン玉が弾ける様に、炭酸の泡が散る様に。
誰かパッと自分を消してくれよ。
2025/08/05 #泡になりたい