精神的な傷は簡単に癒えることはない。だから、僕はあなたの救急箱になりたい。
あなたが泣いたら、止める絆創膏に。
あなたが汚れたら、綺麗にする消毒液に。
あなたが苦しくなったら、治めるお薬に。
そして、あなたは僕の人工呼吸器なんだ。
こんどこそ、お互いが支えよう。
だから還ってきて。
2024/08/19 #心の健康
大好きなピアノを辞めた。
僕がどれだけ上手く弾いても、誰も認めてくれない。辛くって苦しくて。
「それって本当に好きだったの?」
当たり前だろ。じゃなきゃこんなに僕は苦しんでいない。
「逃げているだけじゃない?」
うるさい。お前に僕の何が分かるんだ。
「分かるよ、僕は君だから。君が生み出した僕だから。僕は君の奏でる音楽が好きだ。」
負けるな僕。譜面の前を向け。
鍵盤に手を伸ばす。
2024/08/13 #君の奏でる音楽
今日も列車に揺られている。どこか揺籠のようで、残業疲れの俺にとって睡眠導入剤になるには十分すぎた。働いて、働いて、安定した老後を過ごすために。...ああ、寝てしまいそうだ。
明日もどうせ残業、明後日も残業。変わらぬ日々を繰り返すのみ。毎度鏡を見て、クマがこびりついた顔と睨めっこだ。
駅へ向かうために一歩を踏み出す。
はずだったが、なぜか足は正反対の方向へ。
ソファに飛び込み、だらしなくシャツのボタンを開ける。上司には仮病の連絡。耳が痛いが無視をする。そうして静かに目を閉じて...
目を覚ます。視界に入るには吊り革やホームドア。どうやら寝てしまっていたようだ。
丁度最寄駅だったため、急いで飛び降りる。なんだか幸せな夢を見た気がする。
まだ俺の人生は始まったばかりなのに、何故生き急ぐように動いていたのか。
明日は休もう。そしてたくさん寝て、出前でも取って、映画でも見よう。
俺の終点はまだまだ先なんだ。
2024/08/10 #終点
目を閉じれば思い出す。
あなたが初めて「生きている」と叫んだ声を。
あなたが初めて自分の足で歩いたのを。
あなたが初めて友達を家に呼んだのを。
あなたが初めて喧嘩をしたのを。
あなたが初めてテストで100点を取ったのを。
あなたが初めて挫折したのを。
あなたが初めて好きな人を連れてきたのを。
あなたが初めて新たな命を抱えたのを。
「お母さん!」
どうしてないているの?私は昔から、あなたの笑った顔が好きよ。
私の大事な大事な宝物。蝶よりも花よりも愛しい私の子。
命が散る。
2024/08/09 #蝶よ花よ
自分はこの話の主人公だ。
しかし、自分の人生は自分のものではない。創作者が作り上げたます目を歩くだけの駒である。
外側も、内側も、自分の最後も、何もかも最初から決まってた。
2024/08/08 #最初から決まってた。