だだひとりの君へ


風の噂で聞きました
伴侶を亡くしひとりだと

あれは吹雪の公園で
わたしは振られ泣きました

恋は十色の万華鏡
それでも残る恋がある

性も欲も枯れたって
身体が燃える愛もある

会いに行ったら野暮になる
お酒に飲まれ眠る夜

ふいに見かけた街角で
老けてるキミにひとめぼれ

だだひとりの君へ
背を向けた…

手のひらの宇宙


人の悩みなんて
手のひらの宇宙
ちいさなちいさな
巨大な宇宙

人の恋もおなじ
手のひらの宇宙
無限の無限の
うしろの正面

ゆめは少し違う
宇宙の手のひら
あばれてもあばれても
手のひらの中

きみを好きになった
手のひらの宇宙
知りたくて知りたくて
生涯を懸けて

風のいたずら


帽子がぴゅーって　飛んでった
車にひかれて　また飛んだ
凧上げみたいに　舞い上がり
そのまま川へ　落ちてゆく

粉雪まじりの　北風が
薄着の私を　からかって
いろんな裾から　手を入れる
クシュンと鼻水　流れ出る

いたずら小僧が　やってきた
今年も喧嘩を　するのかな
こどものころから　変わらない
私が婆さん　なっただけ

いたずら小僧よ　遊ぼうか
あんたのいたずら　ひどいよね
吹雪に台風　春一番
ひとりじゃ、ちっとも、つまらない

それでも、負けない、いつまでも

透明な涙


ある本のタイトルが
「透明な涙」です

キレイとか透明は
心象で印象で

それなのに言うことは
伝えたい意味がある

けがれない純粋な
ひたむきな思いとか？

その本は違ってた
透明の、その意味は

悲しみのその果ては
何もない無…なんだって

あなたのもとへ



私が鳥なら　獣なら
虫なら花なら　月ならば
人の心に　住みついて
あなたのもとへ　たどり着く

恋する思いが　命なら
あなたのその手で　死にたいの
胸の炎に　焼かれても
あなたのもとへ　しがみつく

ぐらぐらと　ぐらぐらと
地球を揺らして　泣いている
恋する女の　情念よ
あなたを照らす　朝になれ