キャンドル
命のように消えそうで
金魚を真似て泳いだり
涙のようにぼかしかり
若き強さを叫んだり
やさしくだれかをはげましたり
憎しみたぎらし殺したり
ちいさな、その身に
ちょんと乗せ
朝が来るまで友になる
キャンドル
炎を見上げる土台から
キャンドル
流れるしずくが
人の人生…そのものか?
たくさんの想い出
まるでスマホのように
一人一人の物で
インスタやTik Tokも
使い捨ての雑誌
たくさんの想い出
幼稚園から記憶にあるけど
スポーツ観戦したあとの
みんなで語らう想い出がいい
たくさんの想い出
流行歌さえ今年は知らない
個人ごとの生活で
共有してゆく楽しさが消えた…
それはマッチ売りの少女
炎に夢を映す
人なんて一人ぼっちじゃ
想い出も作れない
冬になったら
新たな居場所と 出会いに戸惑う
桜の春は 落ち着かない春
熱中症なり 食欲なくなる
それでも花火や 祭りに沸く夏
残暑が厳しい 短い秋でも
味覚の宝庫 食いしん坊の秋
クリスマスが来て 正月迎えて
家族の絆を 確かめ合う冬
冬になったら
冬になったら
今年も終わってしまいます
冬になったら
冬になったら
人との距離が近づきます
冬になったら
冬になったら
お鍋を囲んで話しましょう
はなればなれ
なぜだろう
戦争映画を思い出す
はなればなれ
孤児たちの演技が
頭に上映される
そこに、美空ひばりの
「悲しき口笛」
はなればなれ
それは親か兄弟か
恋人なのか
去ってゆく
再会するのは、ごくわずか
はなればなれ
それが永遠になり
日常になる
はなればなれ
いつかは私が
はなれてく
きずながあってこその、言葉
はなればなれ
あなたときずなを
結びたい、
子猫
夜の塾の帰り道
電信柱の影に段ボール
そこには白とこげ茶色の
まんまるおめめの
子猫がいたの
「あった場所に捨ててきな…」
父には叱られ母は知らんぷり
頬ずりしては鼻をすすり
泣きながら歩く
絶望の秋
私だけが救える…と
安否が気になり朝に見に行った
子猫はおめめウルウルさせ
差し出す牛乳
ペロペロ舐めた
学校帰りの帰り道
子猫がいなくて、探しまわってた
「拾われたのよ」と母は言った
それならいいねと
嘘つき笑う
数日後の日曜日
道路に転がる死骸、あの子猫
私は知らぬふりで逃げた
殺したと思い
心を閉ざす
何がこの世の正義なの?
大人になってもずっと分からない
故郷に帰りベビーカー押す
おギャ~と泣くたび
ドキってしてる…