9/11/2025, 12:33:39 PM
なにもない
午前2時半の公園
軋むブランコに腰掛ける
左手についた赤錆を
払い落とすこともしないで
かじかむ指で探ったポケットから
出したのは潰れた紙箱
なにもない暗いやみのなかに咲いたのは火の花
これは終った事
香水なんてつけなかった貴方の
思い出の匂いが
喉に染み付いていた
コンビニの16番は
あの舌ピアスと同じ味がするみたい
9/9/2025, 4:56:34 PM
フィルター
9/8/2025, 11:59:45 AM
「炊飯器」
お日様と遅くなった目覚め
飛んでゆく湯気の香る
白いキッチンの中
不格好な炊飯器
乾いた冬の風の続きが
フローリングを滑ってゆく
白いしゃもじの
かき混ぜる手に沿って
小さな温かさが冷たい部屋に溢れ出す
何もなくたって
こころが暖まることは
ちゃんとそこにある
あたたかいおにぎりを頬張る朝に
9/7/2025, 10:53:39 AM
赤い知恵の実が泥に
堕ちた頃から
こうなることは
決まっていたのだろう
鈍い色に沈む雨粒も形を崩して
羽ばたいていく
白いベッドに一輪
薄らんだピンクの花びらとして
枯れたあなたに
爪を立てる
「雨と君」
9/3/2025, 1:58:26 PM
分かってるんだよな
徒花に終わるんだって
たった一本で立ち枯れて行くんだって
分かってるよな
徒花で終わること
実もつけずただ一人のことを思うだけで
分かってるのに
どうして
今、私は泣いてるんだろ