NoName

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2/27/2024, 4:41:57 PM

授業中、黒板に羅列した文字を必死にノートに書き写し先生の話を聞いていると、だんだん先生の声やノートにペンを走らせる周りの音が、ゆっくりと遠のいていく。

途端に私は妄想の世界に旅立ってしまう。

今日はどんな世界でどんな自分になろうかな。
魔法の世界で偉大な魔法使いになる私?
異世界に転移してとりあえずギルドに登録して冒険者稼業始めて沢山の仲間に出会う私?
それとも貴族に生まれ変わってステキな王子様と恋に落ちたりしちゃう私?

顔には一切表情を浮かべず真っ直ぐ顔を上げて前を見ている私の頭の中は大忙し。

なんとか今回の妄想の設定をし終わったら、妄想の世界の始まり。頭の中で映像が次から次へと流れていく。



…キーンコーンカーンコーン

いきなり聞こえたチャイムの音に驚いて思わず体がビクッとなってしまう。

授業が終わった。
まさかチャイムがなるまで妄想し続けるとは。
それだけ今日の妄想がとても捗ったということだ。
大満足である。

次はどんな妄想しようかな。
寝るまで暇さえあればすぐ妄想の世界に旅立ってしまう私。
小さい頃からの癖はなかなか直らない。

今の状況から物理的に逃れたり時間を潰す方法は、
妄想。これに尽きる。

これが私なりの「現実逃避」の仕方かな。