みかん
美味しかったな
うん
お母さんが皮剥いてくれてさ
勝手に口に入れてくれた
美味しかった
うん
また、食べたいな
お母さんのみかん
今年から食べられないな
冬休み
あと一週間しかないわ
いや、なんか、夏休みと春休みが長い分
冬休みは二週間くらいしかないのよ
本当、馬鹿かって思うけどね
うん
アニメイトで推しのグッズ眺める日々よ
やっぱ、推しの力はすごいわ
手袋いる?
え、持ってたっけ
あー、あの子にもらったんだ
俺のつけて欲しかったけどな…
変わらないものはない?
そーだね、僕も生まれた頃の幼い僕から、臆病で器の小さい人間になった。
すっかり変わっちゃってさ。
なんでかな?親には良いようにしてもらってたし、友達も悪くなかった。
なんで?なんでだろう?
学校も皆勤賞、部活も頑張った。
テストもいつも100点だった。
容姿だって、悪くはなかったはずだ。
…でも唯一、なかったものがあるな、
それは、夢だった。
趣味なんて無かったし、特技もなかった。
何をしても楽しくなかった。
だから、僕は変わってしまったんだ。
“自分のため”ではなく、“親や友達のため”に。
良い子でを演じてたんだな、これが。
でもなんか、疲れちゃってね。
良い子を演じるのをやめたんだよ。
そしたら、ま、みんな離れていったわ。
裏切り者だとか、信じてたのにだとか。
そんなん、お前らの勝手だろ。
人に押し付けんなよ、正義感をさ!
それなのに、勝手に被害者ぶってさ。
うぜえんだよ!
「クリスマスの過ごし方」、か。
うーん、僕家で引きこもってたなー
うちのねーちゃんは、彼氏と外行ったけどね
幼馴染のあいつも結局俺を誘わなかったね
まー、こんなに寒いのに外に出るなんて却下だからな
「好きな人といると、心が温かくなる」?
そんなことないだろ、そんなん妄想だよ
去年はあいつと一緒にいたけど
全くあったかくなかったからな
迷信だよ、そんなもん
うん、そうなんだよ
…でもな、聖夜くらいそんな迷信に惑わされてみたいよな
俺なんか去年を省いたら、もう10年クリボッチだぜ?
悲しくってしゃーないよな
なにも考えたくはなかったよ
一人だもんな、うん
そんな悲しい沈黙を裂くように
あいつからの電話が掛かってきた
『はーい?もしもしー?』
「っあ、出た出た、さっきから何回も電話かけてたんだけど?」
『んー?ごめーん』
「思いがこもってねーよ…で、なんでかけたかわかるかー?」
『しらねー、知ってていいことねーんだよ』
「はぁ…どーせクリぼっちなんだろうから、ゲームでも誘ってやろうと思ったのになー」
『あー?俺暇だからもう寝るけどー?』
「はっ?おまっ、クリスマスはこれからだぞ!?何、いまからねんの!?」
『え、悪い?』
「…少しくらい、構えよ…俺が誘ってやってんだからさボソッ」
『えっなんかいった?』
俺はあいつの言葉に、照れているみたいだった