イブの夜
2階のトイレ
私は知っている
妹と私のための
プレゼントが隠されていることを
11時半頃に
ワインの蓋を開ける音がした
聖夜の祝杯…そんなところか
友達とメッセージのやりとりをしながら
ふと耳を澄ませると
クリスマスツリーの下にプレゼントを置いた音がした
スマホの画面を見ていたらうとうとしていた
やはり、夜更かしはするものじゃないな
思いながらも少し、起きていたい気持ちがあった
ガクッ
あー、やっぱり
寝落ちしちゃったな
今年もサンタを見れないままで
ちゃんと音は聞こえてるのに
プレゼント
真っ赤な髪のあの子は
真っ赤なマフラー着飾って
抹茶の服のあの子には
抹茶の香りが漂います
黄色いスカートあの子には
黄色いチーズがお似合いだ
青い瞳のあの子には
青い髪飾りをつけてほしい
私?
私はいらないよ
だってもう、貰ってるもの
貴方のその、素敵な笑顔
柚子の香り
頬にまで漂う冬の匂い
柚子風呂で少しだけ考える
柚子の香りは優しいな
こんな凍えそうな冬でも
心と体をほぐしてくれる
なら、私も何かプレゼント
できないだろうか
それは、柚子に浸って
夜に更けること
少しだけ、ほんの少しだけだけど
親の決まりを破って
夜更かししてみたくなった
大空
あの大空に
鳥が羽ばたくのか
猫が背伸びするのか
それとも誰かが昇るのか
どれが1番早いかな
ん?
どれよりも
大空が嫌がるのが早かったか
アイツは真っ青で綺麗好きだからな
ベルの音がする
なんだか、何かが始まりそうな
でも少し、寂しいような
きっと赤い服を着た魔法使いと
茶色のトナカイが夜をかけるのさ
まあ、そんなこと起きないだろうけど
そんなことを思いながら
病室の窓を見る
まだ人生は始まったばかりだと
母さんも父さんも言った
でも、僕からすれば
いつ終わりが来てもおかしくない人生
楽しくないよな
窓の外には星達と月
街は浮かれてお祭り騒ぎ
何だか馬鹿らしいよな
そう思った時
窓の外を流れ星が通った
真っ赤な鼻と白い髭が
脳裏をよぎる
なんだか、魔法使いが
勇気をくれたような気がした