【繊細な花】
少し触っただけでも壊れてしまいそうなほど儚い花
その花はとても生きずらそうにしていた
自分はここで咲いていていいのか
他の花たちの邪魔になっているのではないか
そんなことばかりが頭の中を埋め尽くす
隣の花が風に吹かれ揺れるだけでも反応してしまう
そんな過敏な花も
懸命に生きていた
水をしっかり得て
日を浴びて光合成をする
生きるために
誰かに必要とされなくても
花はずっとそこで咲き続ける
いつか自分を見つけてくれる人を待つように
ずっと……
【子供の頃は】
日に日に時間が減っていく
そんな気がする
子供の頃は時間なんて有り余っていて
暇で暇でしょうがなかった
お昼寝時間まで用意されているのに
当時は睡眠の大切さや
後々寝る時間もなくなって行くことに気づかないから
寝るのが嫌で寝たフリをしていたっけ
子供の頃からよく空を見ていた
あんなに色んなものが見えて
キラキラと輝いていた空も
今は綺麗だとは思うけれど
何かが見えることはない
子供の頃は全てが大きく見えて
少し怖かったけどすごくわくわくして楽しかった
懐かしいなぁ
あの頃に戻りたい
でも戻ることは出来ない
出来ないから前を向くしかない
時間は前にしか進んでいかないから
今も昔も与えられた時間は変わらない
ただ何に使うかが変わっただけ
時間の大切さは変わらないから
自分のやりたいことをやろう
人は死ぬために生きてる
今は死ぬまでの暇つぶし期間だから
【日常】
5時半
毎日決まった時間に起きる
スマホを開きゲームのデイリーを終わらせ
時間が余ったらまた眠りにつく
6時
アラームの音で目が覚める
5分程ぼーっとしてからやっと体が動き始める
布団から出て戦いに行く準備をする
7時15分
忘れ物はないかしっかり確認したら
唯一の楽しみを持って家を出る
……やる気は置いてきた
7時半
いつもと同じ電車に乗る
いつ乗っても座れることはない
8時
戦場に着いてしまった
階段を上るのすらめんどくさい
鍵が空いていないため再び階段を降りる
鍵を取れたらまた上って開けて
戻すためにまたまた降りて
上ってやっと荷物を置ける
朝からいい運動
8時半
人もほとんど揃ってきた
そろそろ始まる
12時40分
やっと前半戦が終わった
今から唯一の至福のとき
エナジーチャージ
13時25分
眠気との戦い
話は右から左へ流れていく
もうダメかもしれない
15時30分
やっっと終わった
けどまだ帰還は出来ない
これから上下関係築いてくる
18時
終わった
帰れる
この時をどれだけ待ち望んだことか
早く帰ろう
19時
やっと着いた私の楽園
母、今日も無事に帰還することが出来ました
21時
ご飯が先かお風呂が先かは日によるけど
今日の反省と明日の予定を考えながら過ごす
22時
明日に備えて戦闘準備
この時も忘れ物はないか
ちゃんと充電してあるかを確認
23時
布団へダイブ
このために私は今日も頑張った
まだやり終えてないゲームをする
23時半
スマホを充電器にさしたか確認して目を瞑る
今日もよく生き抜いた
明日も頑張ろ
大丈夫どうにかなる
自分に暗示をかけながら
私は意識を手放す
私の変わらないいつもの日常
毎日同じことの繰り返しだけれど
何かが少しずつ違う
だからといって
楽しいかと聞かれたらそんなことないけれど
今日も精一杯私は生きております
ここで自分なりの言葉を紡いでいます
【相合傘】
雨
それは2人を近づけるもの
濡れたアスファルトの上には
1つの傘を共有する2人の影が
最初は傘を忘れたことから始まり
時には自分の傘を閉じて相手の傘に入ることも
そんな幸せな日々にもいつか終わりがきてしまう
梅雨
濡れたアスファルトの上には1つの影
いつもの交差点へと向かって行く
その交差点にはいくつもの花が手向けられている
1つの影の手にもまた花束が握られていた
『君との最後がこんな形になるとは思わなかった…』
雨は振り続けている
辺りには1つのすすり泣く声と
雨の打ち付ける音しかしない
雨は次第に強くなり
泣き声すらもかき消してしまった
1人になってしまった人を守るように
雨は降り続ける
【落下】
貴方と目が合うとふわふわとした浮遊感に襲われる
さっきまで思考もちゃんと働いていたのに
貴方しか見えなくなって呼吸が苦しくなる
私は
恋に落ちている
片想いなんだろうけれど
貴方はたまに思わせぶりな態度をとる
貴方の言動全てが私を狂わせるのに
苦しくて仕方なくなる
きっと貴方は私の気持ちに気づいている
それでいてその態度をとるのだから酷いと思う
片想いがこんなに辛いとは思わなかった
こんなに苦しいのなら
いっその事実際に落下した方が楽ではないか
その時は貴方も一緒に落ちてくれるかな……なんて
今でも充分過ぎるほど幸せだと思うのに
貴方も私に落ちてくれたらと思ってしまう私は
本当に欲張りだ