色とりどり
はーいクリスマスプレゼント
真っ赤な包装紙に金色のリボン
贈り物慣れしている孫は
サッとひと引きでリボンを解いた
色とりどり36色のマーカーが鮮やかに花を添える…はずだった
ところが包みから顔を出したのは
原色とは程遠い渋めの色あいのキャップで
私はそれらを二度見して端末の画像で色選びをしたことを後悔し始めていた
ネエ描いていい?
孫は私の動揺には無頓着で得意の女の子をスラスラ描き始めた
あのね
これは重ね塗りやグラデーションを楽しめるペンなんだよ…私は苦し紛れの説明を付け加えた
言い終える前に彼女は新たな色を手にとりスッと重ねていた
色とりどりとは程遠いカラーラインナップのペン先から現れる彼女独自の色たち
お絵描きの大好きな子に届けてね
とカード書き添えていた
ばあばからサンタさんへのリクエスト通り
孫はあっという間に36色を自分流の色合いに変え増やして見せた
温かみのある一枚の絵からはエネルギーに満ちたハッピーオーラが溢れ出ていたわ
いつの間にか好きが高じて自分の色を作れるまでに成長していたのね
雪
冬の贅沢
おこたでアイスなんて夢のまた夢
西国では雪は貴重
1シーズンに一度あるかどうか
槙の葉に薄っすら積もった初雪を
せっせとかき集めて溶けないうちに
白砂糖をふりかける
むせながら頬張る
ホコリっぽい雪の味と砂糖の甘さ
ほんの半世紀前の子供の情景
君と一緒に
おこたの天板に片頬つけて
君とお昼寝
すこーしすこーし詰める距離
規則正しい寝息がかかる
わあくすぐったい
近づき過ぎておヒゲがボヤけた
ニャッ
冬晴れ
沼の先の真白き富士と
遠くまでくっきり延びる我街の家並
仕事始めの朝
冬晴れが見せてくれた今年の吉祥
写メでなくこの目に焼き付けておく
幸せとは
「忘れられないものは忘れられないよ」
亡き奥さんの言動を忠実に守ってきた一人暮らしの高齢男性の短いドキュメンタリー
キッチンに置いた妻の料理レシピを毎食再現するという
一人残されたまま6年間、「かみさん」と呼ぶ愛しい妻の気配を家のあちこちに置いてきたんだと思うと
かつて結婚式で誓ったであろう言葉以上の
夫婦愛をそこにみせられた気がした
遠い目で笑みを浮かべ二人の思い出を語る当人
会ったこともない奥さんに魅了され彼を応援している自分
人生の頂点からかなり下ってきた今の私には
他人に寄せる幸せもある