祈りを捧げて
大仏様にすがる思いで祈りを捧げにきた
…んだけど
お堂入り口に立ちしずしずと前へ
見上げた瞬間
信じられない
全身金色コスメの彼が座していた
薄っすら笑みをたたえる口もと
目鼻ほうれい線顔の輪郭
どこからどう見ても大沢たかお様
日本人の誰が見ても彼でしょ
そのうち異国の仏様に妙な親しみが湧き
おかしみに全身が震え始めた
全身ガチガチに張り付いてた悩みが揺れた
ニヤリ顔のたかお様に見下ろされている私
すでにご利益の光に包まれている
今更祈りを捧げるまでもない
遠い日のぬくもり
思い浮かべるのは子供会のキャンプの人
歌ってゲームしてスイカ割りしてカレーを食べて…近所の若いお父さんが15人ぐらいの子供たちを集めて毎夏休みに企画してくれた
締めはキャンプファイアー高く上がる炎がみんなの顔を照らし出していた
半世紀経った今も色褪せない非日常の思い出
レクレーションリーダーの黒メガネの彼は細身で小柄な人
例えるならおかあさんと一緒の体操のお兄さん
子供達を魅了する笑顔動き喋り…
大人が子供目線で楽しむ姿が封建的な田舎育ちの私には新鮮でとっても魅力的だった
今思い返しても一夜のエンタメだった
そんな小学生時代が過ぎ、こども会から離れた
ある夏帰省の折にこのキャンプの話をした
彼はもうこの世にいないという
残念に思う一方、良い人は早逝するんだと軽く納得した
♪遠き山に日は落ちて〜追悼するつもりではなかったが自然に口をついて出てきた
この歌は思いっきり楽しい時間の後に来るキャンプファイアー最期の定番で 物悲しい響きが別れを惜しむ気持ちを増幅させるのだった
最近彼の死因を知って
♪いざや楽しきまどいせん〜が頭を離れない
皆んなで丸く集まってくつろごうという意味だ
ボランティアで子供らにぬくもりを与え続けていた彼が、信じられないことに若くして独り命を絶っていたとは
あなたは私の記憶の中、子供たちに囲まれ
くっつかれ笑顔で走り回っていて…
新世界で生きたいように生きてらっしゃることを願ってやみません 遠い日のSさんへ
揺れるキャンドル
届いた重い小箱には
お母さんお誕生日おめでとう3S楽しんでね
とあった
えっナニナニ謎解きの様でワクワクする
20センチはあろうか巨大グラス
木の葉形水槽の様に見える
ミモザ色の蝋海から幅10センチの板状の凹凸がちょこっと顔を出している
どうやら芯らしいが全くイメージが湧かない
これキャンドル?…だよね
というわけで夜を待ってこわごわ火を点した
まるで花火のナイアガラの様に炎が左右に延びキレイだ
独りきりの静かなリビングに何かが爆ぜる音が広まっていく
炎と音と甘い香りに包まれていると
キャンドルが輝く暖炉に見えてきて
手を翳してみた
指先にしみる立ちのぼる暖かさ
横広がりのフレイルは高く低く絶え間なく揺れパチパチと可愛らしくはじける音が透明な薪を燃やし続ける…
それにこの香り
娘の家の小さなキャンドルを思い出した
あーあ あの香りだ
「この香り好き」ってお母さん言ってたでしょ
彼女が耳元で囁いた気がした
種明かし 3Sって視覚聴覚嗅覚だよ
娘の笑顔がキャンドルグラスの中に見えた
木の葉はまんま
彼女の笑った目の形で…
2人の好物パインキャンディを口に含み
娘を持った幸せに浸る夜 五感を全開にして
光の回廊
ピーター・コリントン作
文字のない絵本「天使のクリスマス」
子供達が巣立った後もこの時期には玄関に開いておくの
「いい子にしてたかい?」って
ひょっこりサンタさんが現れそうだから
大好きなそのページは見開きで…
一面の雪景色静寂の中光の回廊がサンタを誘う場面
ロウソクを掲げた何十というエンジェル達が通りに立ち並んでいるのが見える
良い子のお家はここよーって高くかざしたキャンドルで空翔けるソリを呼び寄せる
次のシーンはそれに気づいたサンタが慌てて全身で手綱をひき、トナカイ達を地上へ降ろしていく
こっちまで息を止めて踏ん張ってしまう臨場感
先頭の守護天使が歩み寄って、いよいよ女の子のお手紙がサンタさんに届けられることに…
天使達の灯りは女の子の部屋まで延び年老いたサンタのゆっくりとした歩みを助け労っている
おしまい?いえいえまだよ🎄
なんと言っても140枚の絵が語るお話だからね
降り積もる雪のように
何て優しい眼差しなんだろう
この曲の虜になった
守る存在ができ幸せなはずなのに
子育て一色の毎日で
弱音を吐けず自分をすり減らしていた頃
この曲に守られていた
ずっと寄り添い囁くように
誰かに頼っても涙を見せてもいいんだよって…
♪ 君の肩に悲しみが
雪のように積もる夜には
心の底から 誰かを
愛することが出来るはず
孤独で君のからっぽの そのグラスを
満たさないで
誰もが泣いてる
涙を人には見せずに
誰もが愛する人の前を
気付かずに通り過ぎてく
浜田省吾
悲しみは雪のように
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初々しい頃の自分はさておき
結婚四十年
降り積もる想いが万年雪化し更に積もっていく
いつ雪崩が起きても不思議じゃないと思ってた
ところがね…側に佇む人の愛情が中に散りばめられているのが透けて見えたりするのよ最近