足音
体重6.5キロ
左右に揺れる貫禄の腹
短い手足はほぼマンチカン
たるたるのルーズスキンは床上4センチに迫り
垂れた腹と短足の相乗効果で
安定感抜群の低い重心の持ち主 オレの相棒
階下では
ドッドッドッ
猫にあるまじき足音を立てて奴が歩いている
ドン
微動だにしない着地音
決まった〜!の声が頭をよぎる
ドッドッドッ
奴が2階へやって来た
ルーティンの始まりだ
まだ5時なんだけど〜容赦なし
オレが起き上がったのを見届け
促すように階段へ向かう
トト トト トト
逸る心が足音を変える
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10年前
『お餅』って名付けていたら
今じゃ『鏡餅』って呼ばれてるぞ
「レオ」聞いてるか?
まあオレよりマシだぜ
「太史」
タイシがフトシだもんな(笑)
奴に続いて階下のキッチンへ
ドスッ ドスッ ドスッ
終わらない夏・休みだったら大歓迎だ
でも母さんの悲鳴が聞こえる気がする
勘弁してよ
朝ごはん昼ごはん晩ごはん それにオヤツ
終わりのない洗濯物
山のような宿題
夏休みのくらし・ドリル・工作・感想文おまけに自由研究 選択の余地なしのてんこもり
それも4人 4人4色でてんやわんや
令和の妻は
パートの掛け持ちでてんてこ舞いだよ
合宿夏期塾代サマーキャンプに行くんだって
稼がなきゃね私達
今晩はあなたが食事担当だからよろしく
親子の時間が休みと反比例して減っていく
立場逆転親ともなると
短い夏休み大歓迎だ
早く学校始まってくれー
遠くの空へ
空を見上げる
雲が流されている
バイバイっていつものように見送る
でもねふと思ったんだ
空を見上げ続けるなら
例え姿形が変わっていても
お帰りかもって
世界中の人々が大地に寝転び空を仰ぐ
千変万化の空に思いを馳せたら
自分の行為が巡って自分に返ってくることに気づくだろう
空は広いって?高いって?
皆そう思うよね
実は遠いも近いもないんだよ
地球上で皆が共有しているものだから
!じゃ足りない感情には顔マークを付ける
これでプラスの気持ちを伝えられたわと
手っ取り早く送信ボタンを押す
ボキャブラリーが貧弱になってきたのを薄々感じている分、その裏返しの様に絵文字を多用する罪悪感がおりのように溜まる
でも加齢による物忘れが相まって言葉を使うにも自信が持てないし
沢山の引き出しは今の自分には使いこなせない。…ままよ…
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最近、舟を編むというTVに目覚めさせてもらった気分だ
装丁に見惚れる
かつて
言葉の海から 言の葉を掬い 送る/受け取る
そんな楽しみの風に吹かれていた自分
詩が好きで行間を渡る鳥になっては
イメージの世界へ自由に羽ばたいて行っていた思春期
10年前
記憶力を過信して断捨離の名の下に手放した沢山の詩集…中也までもを
そして
あの頃の快感を思い出してしまった今
!+顔文字じゃ足りないよ
私が私であるためにどうするか
日記から私の言葉を採集してみるか
君がみた景色
今月はきみの誕生月
80年前
きみは生まれた
極限のどん底だったこの地に根ざして
よくぞ生き延びたものだ
守られ生き抜いた証が君そのもの
寿命尽きる日がきても
私達がきみを生かし続けていくよ
そのために教えて欲しい
今まで君がみて来た景色を
今何をみて
明日に何を思うのか
沈黙の中できみが語って来たことを
きみの口から直に聞きたい