真空中では全ての物体が同じ重力加速度で落下していく。
羽毛も鉄球も同じように落ちる。
しかし実際には空気抵抗があるため同じにはほぼならない。
ここに、同時に同じ高さから身を翻した二つの人間。
一つは様々な偏見や観念に耐え忍んで速やかに地に着いた。
一つは様々な衝動や誘惑にかまけて空を舞い続けた。
その二つはお互いの在り方を認め合ってはいたが、
心の底では常に見下し合っていた。
~落下~
未来について。
もし想像力があればSFを書けるかもしれない。
もし先見性があれば起業して上手くいくかもしれない。
もし実行力があればどこにでも行けるかもしれない。
夢は未来の成る種。
だけど夢だけあっても、種は芽吹かない。
~未来~
1年は長い。すごく長い。
なのに世間的には軽く扱われがちだ。
まだ1年、たったの1年。
毎日毎日くたくたになり、
自分に使える時間もあまりなく、
なんとか凌いでようやっとひと月。
それを12度繰り返す。
もし1年前に戻れるとしたら?
人生は早送りできない、
冗長的で単調な大長編を無編集で垂れ流すビデオだ。
こんな内容をもう一度は御免だ。
第一、ほんの1年じゃ人生は変えられない。
~1年前~
はじめて買ってもらった本。
たくさんの絵や地図と、
その説明が書いてある本。
子どもでも持ちやすい大きさで、
200ページもないボリュームだったけど、
嬉しくて飽きずに何度も読んだ。
ボロボロになって、抜けてしまったページもある。
だけど20年経った今もその本は棚でひっそりと眠っている。
私の数少ない幼少の品。
赤緑青の攻略本。
またいつか、冒険がしたい。
~好きな本~
降水確率40%
いい天気とは言えないまでも、
地面にはっきりと影を残す程度には晴れている。
(傘いらないかな?)
前はそんな風に高を括って降られたじゃないか。
だが、傘は荷物だ。
けっこうかさ張る荷物だ。
折り畳み傘を持っていく選択肢もあるが、
残念ながらこのウエストポーチには入らない。
少し風が涼しくなってきた。
影も薄くなってきている気がする。
あまりボサっとしている時間はなさそうだ。
今から急いで行けば降られずに済むかもしれない。
急ぐ?
なぜ急がないといけないのだろう。
わざわざ走っていくような用でもないのに。
それに走ったら疲れるじゃないか。
では素直に傘を持って行くか?
ただの野暮用で余計に手を埋めるのはポリシーに反する。
もし降らなければ徒労になってさらに最悪だ。
はあ、
そもそもこれは行かなければならない用なのか?
正直、行かなくても困らない。
とはいえ物足りなさを訴えている小腹を無視するのはつらい。
……ああ、
なんて私らしい天気なんだろう。
乱反射する曇天、気持ちが悪い。
ほら、今ポツってした。
やっぱり降るんじゃん。
なんか、今日はもういいや。
そういう気分じゃなくなっちゃったし。
~あいまいな空~