不思議な世界だった。
そこでは直視できないほど眩い球体が頭上に見えるという。
水滴が無数に落ちてくる"雨"という現象もあるようだが、
ここではたまにしか起こらないらしい。
他にも、
見えない何かが全身に吹き付けられるような感覚を覚えたり、
雨の時に一瞬視界が明るくなったと思えば轟音が鳴り響いたり、
水の代わりに雨粒と同じくらいの大きさの氷が降ったりする。
最も驚いたことは、
これらの不可思議な現象がどこの世界でも見られるということだ。
多少の偏りはあるが、時が経てば何らかの変化を見せるのだ。
気付いた時、私の中で何かが変わってしまっていたのを感じた。
ここは不思議な世界。
常に変わらず淡々と水滴が地面を打ち続ける世界。
趣も面白みも何もない退屈な世界。
そして、私の帰る場所。
~いつまでも降り止まない、雨~
不安なんてないあの頃が一番幸せだった。
しかし、大人になってそのツケが回ってきている。
能天気に流され生きているお前は、
その足りない頭でもっと自分や未来の事を考えた方がいい。
お前の想像と違って残念なくらい大人は自由ではない。
だが、想像もつかないくらい自由度は高い。
だから今のうちに悩んで、学んで、挑戦しておけ。
すぐに諦めるな。周りに流されるな。
大丈夫、お前の強さは私が一番よく知っている。
もし、大人になって人生に失敗したと感じることがあったら、
その時は、一緒に酒でも飲もう。
~あの頃の不安だった私へ~
自分が駄目な人間だと自覚する度に自分が嫌になる。
不出来な理由をもう何百周も考えた。
結論は全部同じ。自分が悪い。
でも自分が悪いのは自分のせいじゃない。
それで下らない堂々巡りに疲れたら、寝る。
寝起きはいつも最悪。
欲しいものと欲しかったものがぐるぐる頭を回ってる。
手に入れる方法を飽きるまで考えて、
結局何もかもが手遅れに感じて終わる。
潔く生を諦める度胸があるはずもなく、
けど全てを諦めて受け入れることもできない。
起きたら子どもの頃に戻ってたらなとか、
起きたら物凄い才能に目覚めてたらなとか、
そんな馬鹿げたことに思いを馳せたところで、
非情にも時間は戻らないし、
残酷にも自分は自分でしかない。
心の底からつまらない。
~逃れられない呪縛~
どれだけ悩んでいても、
立ち止まっていても、
生きている限り日はまた昇る。
ああ……筆が進まない。
~昨日へのさよなら、明日との出会い~
ガラスコップに注いだ水は、
透き通っているように見える。
でもその水をすくい上げた池は、
とても底なんて見えない。
あなたから見て、私はどう見える?
~透明な水~