あたしね
毎日 殴られて育ったのよ
だからしあわせな家庭が羨ましくてね
何時も夜になると
窓からさ 向かいのアパートの部屋が見えて
しあわせそうな夫婦と
その子供達が燥ぐのが
毎日見えるわけ
自分を呪ったわね〜
なんで私だけ こんな不幸なのかって
その5年後よ くくく
向かいの家の奥さん
ばらばらになって 捨てられてたんだって
犯人は くくく 旦那だってさ
あたしが窓からみてたのは
幻想だったのよ くくく
そういうとおんなは
たばこをふかくすって
はなからながく いきをはいた
のぼったけむりが
てんじょうにとどくまえに きえた
わたしたちは まどから
そとをみた
ゆきが しんしんと ふっていた
それは
あかるくて
あたたかくて
さわるとすこし やわらかくて
あらいたての タオルみたいな においがして
やさしくて
もろくて
かとおもったら つよくもあって
だけど かたちのないもの
いきものが いきものを
こころから おもうときに
生まれるもの
さいごに あのこにあったのは
ゆうがたの こうえんだった
ジャングルジムのてっぺんから
おしえてくれた
おかあさんが きょうから
ほかのひとになったんだって
いつも わらってたけど
きっと つらかったよね
あのこ
どこにいったんだろう
いまなら あのこに
かけてあげることばも たくさんあるのに
そっと てを にぎってあげるのに
どこにいったんだろう
ジャングルジムは しってるかな
あのこのゆくえを
こえが きこえる
あいつのこえ
てもあしもでないように
しばってやったのに
ちかふかく うめたのに
まだきこえる
あいつのこえ
こえが きこえる
恋
いままでの じぶんが
まるきりかわってしまった
じぶんだけの せかいが
さかさまになってしまった
てにはいらなくていい
じぶんをぎせいにして しあわせをねがう
そのひとをてにいれたいだけなら
まだそれは 恋ではない
恋
もうにどと できないだろう