#私だけ
知っている
知っていた
分かってた
そうだと思った
だろうね、と言葉尻をまとめた結果
抗うことを忘れた 事に私は気が付いたけど
ワタシだけが まだ 密かに行い続けている
私の皮の隙間から奴の隙を窺っている
忘れたって
本当に?
いいや 嘘だ
いいえ 忘れたわ
そう。
だがワタシはあんた程執念深いオンナを知らない
本当に忘れたのか?
悔しさを 恨みを 何を馬鹿にされたのか
忘れたって?
ワタシは覚えてるよ
あんたをバカにされた事
あんたの大事な物が奪われた事
忘れたって?
じゃあなんでそんな顔をする。
なぁ。奴がくたばるのを見てやろう
何も知らないフリをして純情ぶった皮を被ってしくしく泣いてやろう
大事な物は奴の目に付くところには置くな。
全部ポケットに仕舞い込め。
忘れるなよ。
アンタは何時だって鋭い爪を持ってる。
隠し過ぎて忘れた?
見てみなよ。
「ぁ。」
「有った。」
「なにが?どうしたの?」
「ううん。爪、伸びて来たなって」
#遠い日の記憶
学校の図書館で
司書の先生がキミに向いてる、とオススメを教えてくれて読んだ。
楽しかった。
市立の図書館で
大人が読む様なコーナーの分厚いオススメの本を見つけて読んだ。
子供だと思ってても
大人と同じくらい賢い脳味噌が付いてるんだぞ、と言いたくて。
読んだのは
「ダ・ヴィンチ・コード」
ネズミの描写がありましてね、ちょっとゾッとしました。
ビビって開いて閉じて慌てて脳味噌の映像を消して、開いてビビってを繰り返して。
なんとか読み終えました。
今でもうっすらとトラウマです。
あの時、あれを選んだ自分のセンスと読み切った根性を今でも褒めてあげたいです。
余談ですが
数年後にテレビで観たら余計、でした。
ビビり散らかした記憶が舞い戻って来て、ビビり散らかしながらテレビの前でぎゅっとシャツを握り締めて観ました。
面白かったです。
#優越感、劣等感
ラブレターを書きたいくらい好きな文字を読ませてくれる方がいらっしゃるのに、どうしてもその文書に嫉妬して悔しくて堪らないのに大好きで何回も読み返してその度にどっぷり溺れて楽に呼吸が出来るんです
これは愛ですか 恋ですか それとも嫉妬ですか
わかんないから
もっと近くで見てても良いですか
それでもわかんなかったら少し触ってみても良いです
端末に文字を打ち込むのは、人差し指ですか
指の背で触れてみても良いですか
もっと皮膚の感触を教えてもらっても良いですか
他にもたくさんあるんです
どうやったらその端末の文章を読んでくれますか
声を聞かせてください
覚えますんで
あなたが書いた文字をあなたの声で聞けば私の目と耳はあなたで溺れる
お礼がしたいです
ラブレターじゃ足りないですよね
さっきの皮膚の感触はどうでした、
他人の指の感触はどうでした
もっと触ってみますか
指だけで良いんですか
手の甲も、手のひらも良いですよ
たくさん糧にしてくださいね
それで
たくさん読ませてください
#1件のLINE
家族の義務を果たしてください
まだ子供はいないが、自分が子供である立場なのは間違い無い。
兄弟も居る、親も居る。
久しぶりに差出人からのメッセージに
これまた久しぶりに弧を描いた口元を何かと現すなら
「そうだなぁ、嘲笑うなんてどうだ?」
随分とおめでたいく
下品なオツムをお持ちのようだ
ワタシのカゾクを愚弄するなよ
#入道雲
デカい雲
中には竜が棲んでいると信じていた
雷は竜が降りて来る一撃だと信じていた
羨ましい
科学では見えない事も有ると信じていた
同じく
この目に見えない運命も信じていた
救われるべきだと思っていた
その為の勇者も王子も少年も青年も
残念ながら存在しない
あの入道雲がそれを現している
私には見えない
だが、夢に縋り付く事がひとをひとり生かしている