#鏡の中の自分
今日行けば休み
今日行けば休み
今日行けば休み
三連休、何それ美味そう。
鏡の中の自分にほくそ笑んで励まし合う
明日はやばい事がもう決まってる。
欠員が一人出た。
明日の仕事はもう溜まるのが確定した、な。
新人ちゃんは、出来ることが増えた。
残念だけど明日は出来ることだけ、単発の作業だけさせるしかないな。
せっかく出来ること増えたのにごめんなぁ。
こう言う時はやる事は決まってる。
枕をベッドから放っぽり出し、毛布、布団もぶん投げて。
ーーー向きを変える。
ぱしぱしと敷き直した布団。
いつもの頭側に足を向けもそもそと柔い毛布に潜り込む。
「はぁっ。」
少しの背徳感と滲み出る冒険心。
瞼が重くなる。
心地良い微睡にゾッと明日の影が見える。
鼻から息を吸って。
眠りにつく前に、堂々。
"明日はいい日になる様努めるので
今日は安眠します。"
と、宣言して眠る。
すまん。寝るわ。
#眠りにつく前に
#永遠に
中程になった風呂の湯に首まで沈み込み、波紋に揺れる自分の体をぼーっと眺める。
眼鏡を外しているお陰で輪郭はぼやけている。
分かるのは色くらいだ。
風呂の壁、浴槽と、体、あの青色はボディタオル。
あっちの銀色は鏡。
この家には永遠に帰ってこないつもりで居た。
20で卒業後。
21までに貯めた金を持って家を出たのに。
30になった今、あの頃感じていた生きづらさはだいぶ薄まっている。
風呂の壁、水色の浴槽、この体さえ憎かったのに。
今はだいぶ良い。
孤独は永遠ではなかったし
自由は思ったより苦労が要る。
只、覚悟だけ握って出た。
同じように風呂に沈み込んだ9年前の自分を褒めてあげたい。
「よくやったな。」
呆れつつ、褒めてやるんだ。
遅い反抗期だったな、と。
#永遠に
「トリックオアトリート!」
元気に言い放つバカにどう答えようか悩んでいる。
一応、菓子持ってる。
けど、こいつがなんの悪戯するかも気になる。
良くて可愛いヤツ。
悪くてぶん殴られる。
もしくは...菓子渡す、か。
「トリックオアトリート!」
仮装完璧!準備も楽しくて本番はやる気満々で飛び出した今!たった今気が付いたんだけど。
ヤッベ。
イタズラって何するん。
ちゅーとか。
いやいや、でも。
ほっぺくらいなら良いんじゃない!?
む、無理無理無理無理無理。
平手打ちするっ、絶対する!
恥ずかし過ぎる!
ーーー
もう一つの物語。
「なぁ、お前どっちに賭けるよ。」
「ビンタに100円!」
「いちゃらぶに100円!」
「ビビって菓子に300円。」
「お前は?」
「俺。行って来るわ。」
「ぅえ?」
「アイツのポケットのブツぶん取って、背中殴ってtrickつって嫁に押し付けて来るわ。」
俺達親友だろ。
モダモダしてるバカヤローの背中を殴り付けても許してくれるよな。
#もう一つの物語り
暗がりの中でテレビも点けずに、小さな間接照明ひとつで過ごす。
目を瞑り足を投げ出して今日あったことを考える。
朝起きて仕事してそのまま畑へ行ってドロドロで帰って来てシャワーとご飯を済ませて。
何したっけってなる。
「じゃあ、今から何しよっか。」
頭の中で無邪気な誰かが言う。
大人になったら消えると思ったのに、この声は何時まで経っても素直で楽しい事をさせたいらしい。
「何しよっか。」
ゲームする。
そして畑作る。村人にあげて人口増やすんだ。
そして就職させる。
わたしは悪徳ハローワークになるんだ。
そしたら明日は仕事休みだから。
パン屋さんで買ったドーナツ食べて、美味しい紅茶飲むんだ。
良いだろ。
「ふふっ、楽しそう。」
#暗がりの中で