【私だけ】
おぼえてる
泣いている
笑っている
飛び跳ねる
見えない
は、わかる
の時間
のとくべつ
のひみつ
【遠い日の記憶】
街なかで君の香りがしたよ
思わず振り返ったけど、べつのひとだった
とあなたが笑ったのを思い出しながら香水を振る
【空を見上げて心に浮かんだこと】
夜空を横切っていく白い巨人
月の光でぼんやり浮き上がって、
まるでその羽衣で町をつつむみたいに
微笑みをはりつけたまま上空を通っていく
朝焼けの空はどこまでもつづく
追ってくる太陽からにげるようにして飛行機は飛ぶ
紺色から緋色に美しいグラデーションをつくって
ほら、もう朝が来るんだね
夕焼けのずっと向こうには彼の国があるって、
昔だれかが教えてくれた
あなたが夕暮れ時を怖がった理由を
私はいまも考え続けている
どうして空が青く見えるのか、
大気のベールを通した宇宙の色だとか
太陽の光に隠された闇の色だとか
それでもずっと解けないでいる、青の秘密
この空はあなたの上にもひろがっている
はるか彼方であなたが生きている
どこかに君を隠している、ぼくの花を隠している、
だからこの空にあこがれる
いつか、あなたに会えるといい
【1件のLINE】
たった1件のLINEで
気持ちがぱあっとなるときもあるし
なんっかもやもやするときもあるし
深読みして気分わるくなるときもあるし
ほんま勘弁してくれ、文字
文字ってつよいやん
字面がつよいし、残像もひどいやん
考えすぎたら忘れられないどころか
ますますクッキリするやん
引きずるし
今の私みたいに
あぁーもやもやするわー
【目が覚めると】
急に地面に足がついている感覚にハッとする時がある
視界がぱあっと晴れたようなかんじ
ぜんぶに焦点があっているようなかんじ
世界の謎がひとつずつ解明されていくとき
法則の成り立ちを理解したとき
じぶんだけの恋が終わったとき
高かった壁も、存外手が届くと気づいたとき
目が覚めたみたいに視界が開ける
これからあと何回、目が覚めるだろう
目が覚めるたびにおとなになってきたみたいだ
そう思うとすこし淋しい
もう目覚めたくないな、なんて
覚めない夢の中にいられることに憧れる