私ときたらそれはもう花なんてものとは縁遠い人間でしてね。いやぁ、別に嫌いとかそういうわけじゃあないんですよ。ただなんというかむず痒いというか、あ、花粉症じゃないですよ。指の先から心臓に向かってピリピリっとするんです。わかってくれないかなぁ。こんなこと感じちゃうのも花に対して申し訳ないっていうか、私よりもっともっと相応しい人がいるんじゃないかってね。ごめんなさいって、そう思うわけです。
あなたがいたから
元気でいられたんだね
意地悪なきもち消えていったよね
どんなときも支えてもらったから
つらいこと、いやなこと
いつしか忘れてた
あなたにありがとうありがとう
いつまでも大事な宝物
そばにいたこと
小学校のとき、こんなような歌を歌った気がする。
少女に呪いをかけました
賢く美しくそして謙虚であるようにと
少女は利口だったのですぐに大人になりました
賢く美しく謙虚になりました
彼女は優秀だと皆が口を揃えて言います
しかし少女だけはそうは思いませんでした
少女はとても謙虚だったのです
少女は頑張りました
皆は彼女を褒めました
少女はもっと頑張りました
皆は彼女を褒めました
少女はもっともっと頑張りました
皆は彼女を褒めました
あの子は手がかからなくていいねと
賢く美しく謙虚な少女
呪いは彼女から少女を奪った
「ごめんね。君はこの先へは進めないの」
諭すような優しい声
いつの間にか空になった手のひら
「待って、行かないで」
そう泣き叫んでも、届くことはない
「、間が…ない。ま ……す、ぎる。…長、ねば、」
何人かがコソコソ話す声が聞こえて
目の前がだんだんと暗くなる
一体これで何度目だろうか。
微かにあった気配はいまや殆ど感じられない
しかしそれは確かに、そこに存在している
進めなかったものたちは鍵のかかったこの部屋に居続ける
「相合傘」ってのに憧れて、
わざわざ傘を忘れてきたってわけだけど
灰色の下駄箱。待てど暮らせどあいつは来ないし、
前髪は言うこと聞かないし、
雨はちっとも止みそうにないし、
あーほんとに最悪