9/5/2023, 1:18:58 PM
海の音がした。
正確には波の音だ。耳に当てるとそんなふうに聴こえる。子どもの頃よく貝殻を見つける度に聴いていた。
大人になると神様はいなくなる。
貝殻から聞こえてくる音は周りの音の中でも特定の周波数を拾って、それが貝の中で反響して波のように聞こえるとか。そんなふうに真実を知る度に脚は重くなる。
子どもの頃の思い出も潔く捨てるか、と最後に一度だけ耳を当ててみる。
「ひどいことをするなあ!」
耳鳴りがした。
9/3/2023, 5:11:54 PM
何か成さねばならないと焦っているのかそれすらもわからないまま、歩いている。
どうして生きているのかもどうしてこんな場所で仕事をしているのかもわからなくなってくる。生きるため? 生きることを辞めない、理由はなんだ。
明日の天気が崩れるからだとか、周りの人間が自分とは違う欲求を満たそうと奮闘しているのを見ただとか、体調があんまり良くないからだとか。そんなことでここまで深い考えを巡らせては行ったり来たりして何も得られぬまま涙に暮れて眠りにつくのは滑稽だ。
恐ろしく人間らしいことをしており、それが、心の底から気味が悪いと。辞めたいと、ずっと心が叫んでいる。慟哭はどこにも届かないまま今日も夜が添い寝してくる。
だから、生まれてきたくなかったと嘆く。
8/26/2023, 4:59:58 PM
こんなに青くて白い雲が映える空はとても綺麗と思えるのに、刺すような強い光は好きになれない。生い茂る生命の色も人間の好みそれぞれの色に建てられた家もなにもかも、生きているものの証で、それが見えているのがうんざりする。
こんな命に溢れた景色を綺麗と言ってしまう己が恐ろしい。