好き嫌いの激しい子だった私。
あれはなんだかゴリゴリしてておいしくない。あれはなまぐさい。
子供ながらに、子供ゆえに無視できない違和感。
いいじゃない。
好き嫌いが多くたって。
でも、そうも言ってられなくなった。
私に妹ができたのだ。

街が人を食い人が街を呑む。
喰われて呑まれ呑まれて喰われ。
そうして今日も人がある。街がある。

やりたいことがないのとやることがない。
どちらも知っている。
どちらも酷く落ち着かない。
自分を見失いそうになる。
自分の力が及ばなかったことに落胆と悔しさでどうにかなりそうだ。
どちらも酷い焦燥感に苛む。

朝日が部屋にゆっくりと忍び込む。
ゆっくりゆっくりと。
ついに私のところにまで届いた光は温かく優しい温度をしていた。
まだ寝たいと寝返りを打つもやはり逃してくれない。
じわじわとあたたかさを伴う室内。

分岐路が見えていた。
見えたものは、別れて生きるか。死して添い遂げるか。
別れたら再会は不可能。死ねば永遠が手に入る。
ちらりとよこをみた。
なにも気がついていない。
「どうしようか」
その顔に、自然と鼓動が早くなる。