街へ行く。それも遠くの街だと言う。
それこそ移動に半日以上費やすらしい。
この交通の便が発達した現代においてもだそうだ。
相当の長旅である。会いに行くのも一苦労だ。
「会いに行くよ」
一苦労程度で会えるのなら安いものだ。
「事前に連絡してね。何せ辺鄙でお菓子一つ用意できないよ」
コーヒーはいい。
気分を落ち着かせてくれる。
実にいい。
私、本当にコーヒーが好きで豆から入れるくらい好きで効きコーヒーなんてのもできますしコーヒーとつくスイーツは片っ端から食べてきました。
それくらい好きです。
そんな私は今日もコーヒーを淹れました。いい出来です。
そう、染め物に使えばきっと素敵なんでしょうね。
手元のコーヒーびたしになった本日提出の書類をゆっくりと摘みます。
うんやっぱりいい色ではありませんか。
君は今、海にいるのだ。
何せ私が沈めた。そう、わかりやすく言えば私は殺人犯で君は被害者。
理由は、なんだったろうか。
些細だった気もするし、とんでもなく入り組んでいた気もする。どっちでもいい。どっちでもいいのだ。
ただ、私は今回のことを納得しているし後悔もしていないのだ。
これで私は。私は、ついに何もないのだ。
何もない私は君と言う罰だけが残った。
君は今
空を覆う雲が物憂げな色に閉まっていく。
いよいよ泣き出すかと思た頃携帯に連絡が入った。
内容もまた、陰鬱な気分の沈みものだった。
もしかしてい空が物憂げであえうことさえ思た。
物憂げな空
手のひらの上に小さい塊が動いている。
正直、動いているにか怪しい。目を凝らし耳をすませてようやくわかる程度だ。
こんな頼りない生命。足元にはこの塊より大きい毛玉が鳴いている。
伺うような動きがいよいよ激しくなっていく。
親としての本能だろう。
このまま取り上げるのも可哀想だと差し出すように下せばあっという間に咥えて巣に入っていった。
小さないのち