I love me
コレが私の心情だ。
そういうと誰もが苦笑いをする。
私から言わせればその反応こそ苦笑いである。
自分を大切にしないと他人も大切に出来ない。
大切な人の前に立つのにずぼらになった私なんて見せられない。自分を愛して大切にしてはじめて人前に立てる。恥ずかしくない自分を見てほしい。
愛してるから自分を愛すのだ。
I love
街へ行け。
それは祖父の口癖だった。
祖父の生きた時代はスマホが無ければ電話もないような時代だ。だからこそ街に出るのだそうだ。そうやっていかに情報を集めるかでその日が決まるのだと力説している。
今思うと息が詰まりそうだ。
必要な情報はほとんどスマホで入手できる時代に。
「スマホがあるからだろ。逆に息が詰まっちまう」
そうだろうか。
だってスマホがないと。
「街に出ないと繋がりが途絶えるんだ」
何と無くだが、言いたいことを理解した。
街へ
優しくしないでほしい。
だってその優しさはおまけ。あの子に向けられた優しさに比べたら笑ってしまうほど微々たるもの。
だったら最初からないほうが安心する。期待せずにすむ。
いっそ割り切れるくらい賢くなるか満足できるくらい安い女になりたい。
優しさ
カクテルに名前をつけることが出来るんだよと教えてくれた。
ほー、など声に出して出されたカクテルを見た。
濃い紫から青のグラデーションが綺麗なカクテル。こんな綺麗なのだ。どんな名前も負けてしまいそうで迷ってしまう。
すると彼が提案した。
「ミッドナイトなんてどうかな」
優しげな微笑み。それに釣られて微笑み返す。
いい名前だと思う。
カクテルの中の世界。
でも私は知っている。
そうやって囁いた女は私一人でないのだ。
情報なんて探ろうとすれば簡単に出てくる。
優しく微笑めば微笑むほど虚空が胸に刺す。
カクテルはこんなに美しいのに、私の心に訪れた夜は暗い気持ちを根付かせる。
ミッドナイト。
安心するより先に不安が訪れた。
注文された絵が完成したのだ。
正確には締め切りに無理やり間に合わせた。画家にとって満足いく絵と締切は必ずしもセットではない。画家の仲間も同じことをぼやいていた。それでも締切は守らなければ。
あとは絵の具が乾いたのを確認して梱包しなければ。
不安を押し込めるように部屋の空調を調節した。
部屋を出てはじめてもやはり不安が大きかった。
安心と不安