どうして。
どう答えるのが相応しいのか。
事実とは違う答えを教えることも考えた。嘘を教えることになるが自ずと知ることになる。その時こそ正しい説明をするのだ。
一方で正しい答えをという感情もあった。
先延ばしにしても仕方がない。
いくら心が幼かろうが嘘を教えることは一個人を軽んじるに等しい。
どうして
現実とは辛いことの連続なのだ。時に耐え難く時に誘惑が多い。
ライオンも檻の外だから呑気に見ていられるようにゆったりとものを見ていたいと思うようにあり得ない、それこそ自分に都合のいい展開ばかりになればいいのにと思うのは、至極当然のことである。
何が言いたいか。夢のある話しを聞きたい見ていたいのだ。
夢を見ていたい
いけないと解っている。
理解した以上行動に移す責務が生じた。今まで強制してきた以上、自分だけなど許されていない。
状態の変化が確認された。対応を差し迫られた。変更を余儀なくされた。
なら、上が下した決定の遂行は絶対である。
やらなければ。やるのだ。
やれ。
そう自身に命じボタンを押した。
コマンドが実行されたのを、横目で捉えた。
許してくれと願った。ずっとこのままではいられないのだ。
ずっとこのまま
吐く息が白い。
今日のは雪も降ると言う。全くもって嫌になる。
こうなってくると如何に体温を保つかを気にせねばならない。さてどうするか。
寒さが身に染みる夜はたはり鍋か。
だが鍋が飽きたと言う家族を鎮めるレパートリーも思い浮かばない。寒さも染みるが家族の我儘に頭も引き絞る心地である。
寒さが身に染みて
従姉妹のお姉さんが二十歳になったとお祝いをした。
と言ってもそこまで興味はなかった。いつもよりいいご飯が出るくらいにしか思っていない。
私以外のいとこ兄弟だってそうだ。
「アンタも二十歳になったら着るのよ」
あまり想像できなかった。着物なんて動きづらそう。
「従姉妹ちゃんの成人式楽しみね」
そう着物で微笑むお姉さん。
お姉さんの着物は綺麗だけどやっぱり自分が着るところが想像できない。
何時かくる日。
その時、自分はどんなふうに笑っているのだろう。
ちょっとだけ、好奇心が湧いた。