まともに顔を見れない
あの時、僕は体よく彼から逃げた
少しずつ、包まれていくことが怖くて
僕の内から外まで、占領されていく気がして
声をかける事も出来ない。ましてや許しを乞うなんて
脳を掠めた自身を突き落としてやりたい
ふと、顔を上げると、彼が立っていた
血の気が失せた。駒のように動けなかった
頬に炎が走った。殴られたみたいだ
なのに、何故か歓喜を感じでいる
手を差し出された。起こしてくれるらしい
「お互い、意味のないことだったな」
ああ、彼も怖かったんだ、けど、歩み寄ってくれた
「ううん、意味のあること、だよ」
題 あなたとわたし
私は生きようとしている自分
あなたは死のうとしている自分
飛び降りてみな、背中に翼を付けてあげる
首を括ってみな、紐を切って、ネックレスにしてあげる
何だったら、全部試してみる?無駄だと思うけど
一人で逝こうとしないで、声くらい掛けて?
私も逝ってあげるから
ただし、私の方がお姉ちゃんだから
ちゃんと言う事聞く事!
とりあえず、当分生きていよう、わかった?
はい!良い子!ぎゅー!
君の声が聞こえない
この柔らかい雨が温かくて、愛しいから
君の輪郭が霞んで見えない
私には、もう必要ないと気づいたから
さようなら
題 一筋の光
ソファに座って、コーヒーを飲みながら
今日の予定を組み立てる
まず美術館で、好きな画家の作品を鑑賞する
気になっていた映画を観て、お昼は適当に済ませて、
午後は心ゆくまで散策をして
夕食は、デパ地下で買って家で食べる
休日は心身に光を当てるために使う
どう当てれば、全体に行き渡るか
それは、常に決まっていない
とりあえず、今回はこれで行こう
題 哀愁をそそる
駄目なんだ
今の私には、全てが空虚で、無駄に思えないんだ
赤い紅葉はペンキを塗っただけ
音楽は断裂されて、ただの音のつぎはぎ
なのに、あなたの笑顔、声だけが
生きてるように弾んでるんだ
お願い、もう少しだけ
あなたの生命を感じさせて欲しい