『小さな命』
命に小さいも大きいもないと思う。
死後の世界があるならば、
人間は等しく裁かれる筈なんだ。
産まれてすぐに亡くなった赤子を除いてな。
生きている限り何かの命を奪わずにはいられない。
大抵の場合それは自分の命を守るために必要なことだ。
健康のためには肉や魚を食べた方が良いし、
自分の身を襲う恐れのある害獣は排除した方が良い。
虫だって害をなすなら排除した方が良い。
まぁ、僕たちは害をなさない虫だって排除するけど。
命を奪うという罪を犯したことのない人間なんて、
この世には居ないと思う。
直接的ではないとしても、間接的には犯してる。
だってそれが生きるってことだから。
生きることは罪なんだよ。
というのはまぁ、
命を奪うことは罪だと感じている僕の考えでしかない。
僕は魚も肉も大好きだし、虫は大嫌い。
だから死後は確実に罪に問われます。
あな恐ろしや。
『太陽のような』
眩しくてとても直視できない。
熱くてとても近寄れない。
大きくてとても包み込めない。
なら、貴方はずっと一人なの?
誰が貴方の頭を撫でて、
誰が貴方の隣で笑って、
誰が貴方の体を抱きしめて、
誰が貴方の涙を拭う?
溢れんばかりのエネルギーを抱えて、
この世に光をもたらして。
でもきっと貴方にそんなつもりは一切なくて、
ただ存在しているだけなんだ。
『優しさ』
「君にはこれが似合うよ」って言ったのは、
優しさなんかじゃなくてもっと醜いもので、
彼奴の好みの格好なんてさせたくなかったからなんだ。
『こんな夢を見た』
お姫様になる夢を見た。
少女漫画みたいな恋をして、
好きな人と結ばれる夢を見た。
魔法使いになる夢を見た。
探偵になる夢を見た。
小説家になる夢を見た。
二次元へトリップする夢を見た。
どこかに自分の分身が存在している夢を見た。
実況者になる夢を見た。
小説家になる夢を見た。
いつか誰かが救ってくれる夢を見た。
ニートになる夢を見た。
自分が考えた作品が世に出る夢を見た。
小説家になる夢を見た。
推しに終わらせてもらう夢を見た。
もの好きな愛好家に飼われる夢を見た。
楽に生きていく夢を見た。
夢を見る夢を見た。
夢を見る夢を見た。
小説家になる夢を見た。
『君に会いたくて』
君に会いたくて絵を描くんだ。
君に会いたくて言葉を綴る。
君は此処にしかいないからさ。
私の中から出ておいで。
その姿を見せて欲しい。
私は君に会いたいの。
心の中だか頭の中だか、
何処にいるのかは分からないけど。
君は私の中を巡って満たしてくれている。
血液のように、ならば、血管の中にいるのかもね。
出ておいで。
血管の中にいるのなら、
指先が切れたら君は溢れ出してしまうのだろうか。
勿体無いからやめてくれ。
そうだ、勿体無いな。
私は君をたくさんの人に見てもらって、
たくさんの人の心の中に君の居場所を作りたいんだ。
いつか私が息を止めても、
誰かの中で君が生きれるように。
私と一緒に心中なんてして欲しくない。
けど、君が誰かに知られてしまったら、
私だけの君じゃなくなってしまうのだろう。
誰かの中で生きる君は、
私の知る君ではなくなってしまうのだろう。
それは少し、かなり、とても、嫌だなぁ。
やっぱり一緒に…………とも思うけど、
君に死んで欲しくはないんだ。
君に会いたいな。
君に。
君って、誰だろうね。
ちゃんと決めてもないのに会いたいだなんて、
言わないで欲しいよね。
ごめんね。