怖いことがあると、何故か笑っちゃうんですけどわかる人いません?
いや、なんかね、小学校の時にお楽しみ会的なのがあって、AとBグループに分かれてお化け屋敷と映画を作ったんです。私が映画のチームだったもんで、お楽しみ会当日はお化け屋敷に行ったんです。そしたら小学生とは思えんくらいクオリティ高くて。
例えば歩いてたら生首ころがってきたり。エグいでしょ。
お化け屋敷の待ち時間の時に中からものすんごい絶叫が聞こえたらもんだから、友達とやばいやばいねって騒いでたんです。そん時はまだ普通に怖がってたんですよ?誰が先頭に中に入るかで「いやお前入れよ」的な。
でもっていざ入ったら怖いのなんの。普通そこは涙目になってやーん怖いよー!って言うもんなんでしょうけど、私は何故か、大笑いしてたんです。
怖いんですよ?ものすごく。だって生首転がってくるし。でも、本当になんでか分かんないですけど怖いと笑っちゃうんですよね…。
友だちにお化け屋敷出た後に言われました。
「おめぇが一番怖ぇよ」
聞いてください皆さん。私、中学3年生になってお化け屋敷に入れないくらい怖がりなんです。
#怖がり
星なんてとうの昔に見えなくなったこの世界では、空を見上げても見えるのは鉛色の空ばかり。
20XX年。世界的な大気汚染により、世界中の空から星が、消えた。
「ねえお母さん、ホシってなぁに?」
「…え?お星様なら空に…。あぁ、そっか。」
私の子どもは、星を見たことがないんだ。私が子供の時なんてきらきら星っていう歌があったんだよと、本当は少し寂しいけど、笑いながら教えてあげた。
「星が、見たい?」
「うん!今日ねスマホで読んだの。人は、死んだら星になるんだって!」
「…あのね、それは」
「あるんでしょ?見たい見たい!星、見たいー!!」
…うるさい。そんなの、私だって星見たいよ。修学旅行の広島で見た満天の星空。流れ星に誓った受験合格。金星に夕星っていう名前があるんだよと教えてくれた初恋の理科の先生。
どれだけ思い出があると思ってる。どれだけ私があなたより星を見たいと思ってる。人は死んだら星になる?そんなに星が見たいなら、私が死んでしまおうか。
いや、本当に見たいのは、私、か。
育児を終えて、子供の反抗期を乗り越えて、親の介護をこなして、子供の結婚式と孫を見届けて、その先に病気か。
でも、死ぬことに恐れは抱いていない。いつか私の子供が言ってたな。人は死んだら星になると。ずっと見たいと思っていたんだ。念願が叶うと思えば、恐くなんてあるものか。あぁ、段々と、意識が薄れていく。
次に目を開けたその時に、目の前に入り込んできたのは、溢れんばかりの星だった。私の目から溢れた涙が、流れ星になって、孫たちが星を見れる世界が来ますように…。
#星が溢れる
「これ、ホワイトデー」
「ん、ありがとう」
父からのお返しは、チョコなんて飾ったものじゃなくて、私の大好きなアレだった。
「え、ホワイトデーだよ?いいの?そんな、酒のつまみみたいなんで。一応ウチらまだJCですけど」
友だちに父からのホワイトデーのお返しを見せたら言われた言葉だ。まぁ、あながち間違ってない。確かにアレは酒のつまみだ。だって私も初見の時そうツッコミいれたし。
でも、いいんだ。私がソレを望んだんだから。高級ブランドのチョコよりも、手づくりのチョコよりも、私が好きで、美味しいって思えるものをもらった方が嬉しいに決まってる。それに、貰った人が喜んでくれたら、あげた父だって嬉しいはずだ。
だから私はホワイトデーにアレを望んだし、父もあったかい目で喜ぶ私を見ていたことだろう。
でも、もうその父の安らかな瞳を見ることも叶わない。私が二十歳になってすぐ旅立ってしまった父の墓に腰を下ろす。
「父さん、私ももうお酒が飲める歳になったよ」
そう言って、私は酒のつまみに、大好きなあたりめを置
いた。
#安らかな瞳
2010年3月13日
ぼくは、お人形さんなんだって。ぼくの体には糸が繋がっててね、ずっとずぅっと、お母さんのそばにいるんだって。あとね、お母さんはね、いつも
「あなたまで置いていかないで、ずっと隣にいて」
って、ぼくに毎日毎日言うの。でもね、ぼくは友達と遊びたいの、お散歩に行きたいの、ゲームを友達とたくさんしたいんだぁ。でもぼくの体には糸が繋がってて動けない。だから僕、思ったんだ。
「お母さんが動かなきゃいいんだ!」
今度は、お母さんの番だよ。たっくさんの糸をぼくに繋げた分、ぼくもお母さんに糸を何重にも何重にも巻き付けたの。そしたらね、お母さん動かなくなった!
2023年3月14日
久しぶに日記を読み返した。自分がやったことなのにゾッとする。子供って残酷だな。でも、間違ってなんかない。
なあ、母さん。
僕は、お前の操り人形なんかじゃない。
#ずっと隣で
私は、月に1度自分の頭を壊す。と言っても、別に死にに行くわけではない。壊す。そして、リスタート。その繰り返し。目的は頭を初期化すること。私がこの行為を始めたのは、主様が、分からないことを言ったから。
「お前は、全てを知っていて楽しいか。生きていて…いや、存在していて」
「主様、私はカラクリです。楽しいなどという感情を抱く必要がありません」
「…よく聞け。俺は先が短い。いつおっ死ぬか分からないんだ。お前は俺がガキの頃からそばにいた。それなりに感謝してるんだ。」
「主様」
「いいか、俺はお前をまがいなりにも愛している。カラクリだろうがなんだろうが、家族よりも誰よりもずっとそばにいたのはいつだってお前だ」
「主様っ」
「お前には、幸せに、なって欲しいんだ。俺が、お前を、愛して、いる、から…」
脈がない主様。どんどん体が固くなっていった。この時の私もまだ、主様が亡くなったことを機械的には理解している。
でも、分からない。初めて分からないことが出来た。
愛してるとは、なんだ。
その日から私は愛してるを理解しようと、頭の中にインストールされている知識を全て壊した。インストールされていた知識のせいで理解出来ないのかもしれないと考えたからだ。今月もまた、理解できなかった。愛してるを理解するためだけの知識が欲しい。
ワカラナイ ダカラ シリタイ
#もっと知りたい