シャノン

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5/6/2025, 3:54:02 AM

【手紙を開くと】


「さて、今回は何を作ってきたんだ?」

差し入れにと貰った小袋を開けると、中から甘い匂いが漂ってくる。クッキーの類なのだろうが、正式な名称は知らない。

「ん…相変わらず美味いな」

サクサクと食べながら、差し入れと一緒に受け取った手紙に目をやる。内容はかなり気になるが、中々読む勇気を持てずにいた。

「部活の話か、これからの話か、それとも両方か…。はぁ〜…」

教室で見かけた時のあいつと同じような、重いため息が漏れる。

「あいつも、こんな気持ちだったのかな…」

勢い任せだったとは言え、受け取ってしまった以上、手紙を読まない訳にはいかないだろう。

覚悟を決めて、手紙を開く。

_______________



…あぁ、そうか。
お前は、そんな風に思っていたのか。
そんなことを考えていたのか。

4/27/2025, 11:39:58 AM

【ふとした瞬間】


ふとした瞬間に思い出す
みんなとの青春とひと時

ふとした瞬間に気づいた
君がよくする何気ない癖

ふとした瞬間に自覚した
私は、君のことが好きだ

4/6/2025, 10:01:34 PM

【好きだよ】


「なんでここまで言われなきゃいけないの」
「それくらい出来ていないから言ってるの」
「社員じゃないんだから…」
「社員じゃなかったら適当でいいの?もう3ヶ月経つでしょ?」
「はいはい」
「…前々から気になってたんだけどさ、なんでタメ口なの?ここ職場だよ?」

―――

「お疲れ」
「おう、お疲れ。久し振りだな」

半日シフトの仕事終わりに、友人とランチの約束をしていた。
お互い仕事で忙しく、会うのは1ヶ月ぶりだろうか。

「ほんと久し振り。休み全然合わなかったもんね」
「そうだな。ほら、早く行こう。話聞いてやるからさ」
「うん、ありがとう」

今日はただのランチ会ではない。仕事で積もり積もったストレスの発散も兼ねていた。
本当は、お互いの休みが重なる日に会う予定だった。しかし、あまりにも色々と“酷い”新人のおかげで、私の精神が限界を迎えていたのだ。そこで、「半日だけでも予定が合う時に会っておこう」と提案してくれたのだ。なんとも有り難く、頼もしい友人だ。

そうこうしている内に店に着き、注文を済ませる。

「それで?例の新人さんは、今度は何をしでかしたんだ?」
「無断で早退した」
「は?」
「何もしないで10分以上突っ立ってやがると思ったら、何の断りもなしに帰りやがった」
「なんだそりゃ。何があったんだよ」
「うーん…。3ヶ月も働いてればさ、何がどの程度必要かってわかるじゃない?」
「まぁ、日によって変動しなければな」
「でしょ?で、用意する物は沢山あるのに随分ゆっくり作業しているもんだから、声かけたの」
「どんな風に?」
「それじゃ全然足りないけど大丈夫?って。…前科があるから、この時点でもうイライラはしちゃってたかも」
「それで、なんて返ってきたんだ?」
「あぁ…って」
「あ?なんだよそれ。そいつ後輩なんだよな?」
「そうだよ。んで、今までもそんな舐めた口の利き方するもんだから、もう我慢できなくなって怒っちゃったの。そしたら、“なんでそんなに怒られなきゃいけないの?”だって」
「…とんでもねぇ奴だな」
「挙句の果てには“正社員じゃないんだから…”なんて言い始めてさ。正社員レベルの仕事なんてさせてないし、高校生でも務まる程度の仕事しか任されてないやろがい。ふざけやがって」
「それは…災難だったな。で?また不貞腐れちまったのか?」
「そう。で、そのまま帰った」
「なる程な」

今までの鬱憤が爆発する。
ただ仕事ができないだけならまだしも、そもそもやる気がないような人間になんて、優しくしてやれない。働く気がないなら帰ってしまえ、と思ってはいたが、断りは入れるのが筋だろう。最低限の筋も通せない人間なんて、とても許せそうにない。

「お前も苦労するな。この前も、1から製作し直しになったんだろ?その件は大丈夫だったのか?」
「一応間に合ったけど、謝罪の言葉は一切なかったね」
「なんだよそれ。その新人って学生じゃないんだろ?」
「もうとっくに社会人だよ。だから余計に腹が立つの」

「とはいえ、出来ないとわかってる相手に厳しくしすぎちゃったのかな、とも思ってるんだよね」
「…程度がわからんから何とも言えないが、優しくして甘やかしても、そいつの為にはならないだろ」
「うん…」
「お前が気に病むことはないと思うぜ。先輩も言ってたろ?気にするな」
「んー…」
「…俺は、お前のそういう…責任感が強くて真面目なとこ、好きだぜ」
「…え?」
「…2回は言わないぞ」
「…うん…私も、さ…」
「ん?」
「優しくて、頼もしいところ、その…好きだよ」

先程までとは打って変わって、静寂が辺りを包む。
それでも、不思議と息苦しさはなくて、
そこにあったのは、気恥ずかしさと、ふわふわとした温もりだった。

4/4/2025, 11:08:36 AM

【桜】


〈お久し振りです!今回、お手伝いに来て頂けると伺いました。
またよろしくお願いいたします!〉

〈久し振りだな。こちらこそ、よろしく頼む。
皆んな元気か?〉

〈相変わらずの馬鹿ばっかです!〉

〈そうか笑 また会えるのが楽しみだ。〉
〈そちらに行く頃には、桜も咲いているだろうから
また皆んなで花見にでも行こう。〉

〈行きましょう!是非!〉
〈いつでも行けるように準備しておきますね!〉


先輩方とお花見だなんて、いつ振りだろう。
今から楽しみで仕方がない。気が早いと呆れられるだろうか?
まぁこの際、そんなことはどうだっていい。

まずは何を用意しようか?
レジャーシートはまだあったかな?
いやでも、あの公園はベンチ付きのテーブルがあるから…
そもそも場所の候補は他にないのか?

あぁ、考えがまとまらない…。


〈【速報】先輩からお花見のお誘いあり!〉
〈場所どうする?何持ってく??〉

〈気が早すぎるわバカタレ〉

〈桜が咲き始めるのはまだ先だぞ〉

〈でも、先輩たちと会えるの楽しみだね!〉


案の定。こんな返しが来るだろうとは思っていたさ。
想定の範囲内だ。

この“いつも通り”がこの上なく嬉しい。
これけら先も、ずっとこのままでいられますように…。

4/4/2025, 10:28:02 AM

【君と】


太陽のように明るい君と歩いた道

負けず嫌いな君と励んだ朝練

完璧な君と取り組んだ課題の山

穏やかな君と過ごした休み時間

優しい君と語り合った放課後

馬鹿真面目な君との帰り道


思い出に満ちた君との時間
これが私の宝物

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