夏は田舎に会いに来て
そこには私の家族がいるわ
冬は都会に会いに来て
そこにはあなたとの思い出があるわ
春と秋は会いに来ないで
短い間だけでも前を向いていて
一年経ったら会いに来て
私はずっと待っているわ
三年経ったら会いに来て
もっと会いたいけれど
七年経ったら会いに来て
私の事忘れてない?
十三年経っても会いに来て
私だけ置き去りね
十七年経っても会いに来て
私はずっと待っているわ
二十三年経っても会いに来て
そろそろ前を向かなきゃね
二十七年経っても会いに来て
あなたは幸せになれた?
三十三年経っても会いに来て
幸せそうね
私も嬉しいわ
五十年経ったら会いに来ないで
あなたは自分の幸せを大事にして
百年経ったら愛に来て
私はあなたに会えて幸せよ
初めてあなたに出会った時
あなたの存在が嫌いだった
もう会う事もないあなたの事など数日で忘れ去った
再びあなたに出会った時
もう会う事も無いと思っていたのに
会えたことに少しの喜びを感じた
初めて会った時気付けなかったことに気がついて
少しあなたに興味が湧いた
もう一度会えますか
その言葉は言えなかった
言えなかった事を後悔した
三度あなたに出会った時
私は心の底から喜んだ
会う約束をして無いのに会えたことに運命を感じた
前回の後悔を胸に今回こそ言えた
もう一度会えますか
幾度もあなたに会う度に
私の心は満たされた
その所作がその声が私の全てを幸せにしてくれる
そう思う度私はあなたに尽くそうと決めた
何度もそれを繰り返す
あなたの存在全てが好きだ
最後にあなたに会った時
私はあなたが嫌いになった
存在を否定したかった
でもできなかった
私はあなたの存在を忘れることはできなかった
決して旅が好きなわけじゃ無い
むしろ嫌いで家族旅行の度に暗い気持ちになっていた
それでも一つだけ好きな事があった
皆が寝静まった後こっそり宿から抜け出して星を眺めたり、海を眺めたり、川を眺めたり
夜だから大したものは見れないけどそれでも漠然と綺麗な景色がそこにあることを音で匂いで感じ取れた
でもそんなことを繰り返していたある日家族で泊まっていた旅館で火事が起きた
深夜ということもあってほとんどの人が寝静まっていた
放火ではなく火の不始末と老朽化による崩落の完全なる事故
家族は亡くなり僕は1人になった
その時年齢は17歳
1人で生きていけるだろうと月の初めに決まったお金を親戚からもらい1人で生き始めた
学校を卒業して就職して
仕送りも無くなり親戚との縁も切れた
僕は旅行が好きになった