「澄んだ瞳」
そんな瞳で私を見ないでくれ
私は君になにかしたか?
なぜ、そんな澄んだ瞳で私をみる?
私はこの世にいない方がいい存在なのだ
やめてくれ
そんな瞳で私を見ないでくれ
「誰かのためになるならば」
あっ、ゴミ落ちてる。拾ってゴミ箱に捨てよ。
看板倒れてる。立て直しておこう。
不安定なところに植木鉢がある。危ないから安定した所に置いておこう。
...誰かのためになるかはわからないけど、しといた方がいいよね。もし、事故になっちゃったら大変だもん。気分もスッキリするし。
...あれ?ここら辺で落としたはずなんだけど。
ファイルに保管しようと思ってた超レアなグミの袋...あれ、二度と手に入らないかもしれないのに...
あっ!看板誰かが立て直されてる!!
どうりで人が入ってくると思った。内装をちょっと変えるために外に退けたのに。しかも、怒られちゃったじゃない。
ん?上に置いてた植木鉢がなんであんな所に?
これじゃ、僕の芸術作品が台無しだ...。
そこに接着剤ついてたから、ここから離すこともできないし...どうしよう。
誰かのためになるかもしれないことは、誰かの邪魔をしていることになるかもしれない。
そっとしておくのも大事。
「鳥かご」
私は外の世界のことを知らない。
外の世界の景色はみえる。
でも、どういうところなのか知らない。
誰も外の世界のことは教えてくれない。
聞こうとすると嫌な顔をされてはぐらかされる。
まるで、鳥かごの中にいるみたい。
私は外の世界が気になる。
みた感じだと、とっても楽しそう。
キラキラしてて、明るくて、ポカポカしてて。
外の世界に行きたい。
どんなところか分からないけれど、ワクワクする。
どうすれば行けるのかずっと考えていた。
ある日、ドアが開いていた。
ここから、外の世界に行けるのではないか。
行ってもいいのかな?
ちょっとお散歩するだけ。
私は外の世界に飛び出した。
出た瞬間、見知らぬ人に踏み潰された。
ぐちゃぐちゃになった。
見知らぬ人はコチラを一度も見ずに去っていった。
外の世界は、思ったより明るくなかった。
キラキラしていない、暗い、ポカポカしていない。
どうして、誰も外の世界のことを教えてくれなかったのか、いま分かった。
あそこにいれば、こんなこと知らずに済んだ。
あそこにいれば、ぐちゃぐちゃにならなかった。
私は愚か者だ。
鳥かごの中にいれば、幸せだったのに。
助けて...。
ここで、目の前が真っ暗になった。
「花咲いて」
ぱっと花が咲いたように笑うキミ。
カスミ草みたいな笑顔だね。
素敵だよ。
僕、なにかしたっけ?
...あぁ、僕もキミに感謝しているよ。
キミは色々な花みたいな表情をする。
おや?
ホオズキみたいな笑顔をしてる。
...無理してないかい?
僕でよければ話してごらん。
自分に嘘をつかないで。
どんなキミも僕は受け入れるよ。
色々な花みたいな表情をするキミが大好きなんだからさ。
「もしタイムマシンがあったら」
タイムマシンがあったら、過去や未来じゃなく並行世界にも行けるのだろうか。
いじめられなかった世界線。
第1志望に受かった世界線。
今でも忘れられないあの人と結婚した世界線。
もし、行けるのなら今の世界線から抜け出したい。
もうこんな人生嫌だ。
並行世界にいる自分を殺して、今度こそ人生を謳歌するんだ。
幸せになりたい。