「新しい地図」
何処からか春風が吹く
ザワザワ
葉が唄っているように花びらがヒラヒラと舞い落ちる
「ねぇ、探検しに行こう!」
そう手を差し伸べてくれた幼い頃の思い出…小さい頃は何を見るにも初めてで知らないところが怖いとも思わず、どんどん走って行けるような気がしていた。
どこまでもどこまでも、空まで手が届きそうで楽しかったなぁ…
知らない道、新しい場所、それは少しの恐怖とたくさんの興味で溢れている。そんな時を懐かしむ、知らないこと、知らない場所がこんなにも楽しいと知った時の嬉しさは凄かった。
まだまだ知らない場所がある。
まだ出会ってない人がいる。
まだ触れてない空気がある。
新年度、今度はどんな探検ができるかな…
まだ見てない景色を求めに
左手にはコンパスを
右手には新しい地図を持って
「さぁ、探検に行こう」
昔、大事に大事に育てていた鳥がいるの
絶対外には出さないように、鳥かごの中にいれて、餌をやって、遊び場なども豪華にあげたわ…
でもね、鳥はだんだんと衰弱していったの、それが怖くて動物病院に駆け寄ったわ…そしたら散歩をさせて体力をつけてくださいってお医者様に言われたの…無理をさせたくなくて、怖くて、外には出せなかったわ…
だって鳥かごから出したら一生戻ってこないじゃない?
人間も鳥かごの中で生きれれば楽なのにね
鳥かごの中は安全なのよ?怖いものは何も無いの、ご飯だって出てくる。それなのに、それが一番だと言うのに、外に出たいというのはわがままね。
それが人生だと言うなら、かごにしまわれたくないというのであれば、自分で責任を取りなさい?怖くたって、安全でなくたって、泣いて戻ったって、もうそこには戻れないの。
甘えないで、戻ってこないで、もっと高く
空高く飛びなさい
子供の頃は良かったなぁ……
なんでって、分かるでしょ?
公園で遊ぶのに禁止なんてなかったのに、今じゃ、ボールはダメ、うるさい声もダメってさじゃあ何して遊べって言うんだろうね、
それに、子供の頃はなんも気にしなかったもん、税も安かったし、勉強なんて難しくもない……
怒られまくったけど、そのおかげで常識のある人間に慣れたとは思うよ、それも楽しかったなぁって…
今じゃさ、怒られることに怯えて、失敗することに怯えて、人前に立つことに怯えて、正しいって言うことすら出来ずに怯えて、1人になることも怯えて、勉強が出来ないことにも怯えて、これが成長だ?
おかしな話だよ
ねぇ?大人たちはどうして怒るの?間違ったことをしたなら怒らなきゃいけないけどさ、公園で遊んでるだけでも怒られなきゃダメなの?失敗したら怒るのはなんで?
あれやりなさい、これやりなさいって
子供の頃は自分に従って、自分の好きなように、1人でも、友達とでも…自由だったなぁ
狭い部屋の中で私はぐるぐる考えるの
あの時ああすればとか、𓏸𓏸ちゃんへの言い方キツかったかな、嫌われちゃったかな、なんで感情任せに言葉を言っちゃったのかとか…
ずっとずっと、1人で、誰にも言わずにぐるぐる、狭い部屋で1人考える。
キリがない悩み事も後悔も今しか出来ない。大事なもの、そう思うけど……
高校生ってやだなって思っちゃうよ
私の後悔……聞いてくれる?
聞いてくれるの?優しい人ね
人間はみんな後悔しながら生きてるのよ、貴方も後悔したことある?あるわよね、きっと
私がずっと後悔したのはね、嫌いな人を知ろうとしなかったこと
普通好きな人じゃないかって?
嫌いな人なんか知らなくてもいいだろって?
私もそう思っていたの、でも嫌いなのには理由があった。
話は聞かないのに自分の話ばかりをするの、何度も何度も同じ話をね、それに距離感がすごくおかしい人でね、誰かと喋っていても、その間にグイグイ来る人で、勝手に髪に触れるわ、それで孤立した。そのうち挨拶すら私はしなくなったの、
でも、よくよく考えれば、あの人にはあの人の理由があったのかもしれない。あの行動をする理由…環境…親…色々あったのかもしれない。今でも、嫌いよ、いい所を見つけようともしたわ、それでも無理だった。
でもね、最終的何も知らないの、仲良くなろうだなんて思ってないし、好きになろうとも思ってない。途中から興味なんてなかった。でも、あの子を責める前に知ろうとすれば、注意をすれば、何か変わってたのかな、なんて思ったりする。
わからないものね、後悔なんかしても変わらないのに…
聞いてくれてありがとう、貴方も知ろうとしてみてね、私が言えた口じゃないけれど